20240110

 『信濃毎日新聞』(1月10日付)に、千曲川の河川敷で「違法耕作」をしていたのは、満蒙開拓団の残留邦人やその家族らであったという記事が載っている(特集「鍬を握る 満蒙開拓からの問い」)。

 管理といっても草を刈り続けるだけの河川敷ならば、そこで耕作するなら樹林化を抑制できるだけ手間もかからず益というものである(小屋を建てるのは困るが)。利用したい人は利用できるように制度をつくればいいのではないかと思う。そうしたからといって河川敷が一帯 耕作されつくすというほど、みな農業に目覚めてもいまい。面積的にはたかがしれているはずだ。

 公園で子どもが騒ぐのもしかり、社会的弱者が利用できてこその公共の土地ではないか。

20240105

 天竜川は、「天の中川(あまのなかがわ)」「天中川(てんちゅうがわ)」から音が変化して、竜という漢字を当てはめたらしい。ではなんで「天の中川」と呼ばれたのかというと、あんまりしっくりくる説明がない。「天の川と同じ方向に流れているから」というのだと、南北に流れる川はみんなそう呼ばれていてもよさそうなものだ。

20240104

 伊那市駅のトイレが改築される。次は地域産材による木造で、男性用・女性用・多目的トイレの3室構造になるそうだ。それは結構なことなのだけど、報道によれば

「おむつ替えなどのための「ベビーシート」も女性用と多目的トイレに設ける」(「長野日報」上伊那版、2023年12月31日付)。

 なんで男性用にはベビーシートを設けないのだろうか。

 長野県の人口が200万人以下になるということで、さかんに「若い女性を県内に引き留めねば(呼ばねば)」と言われているわけだけど(これ自体、人口維持の手段として人をみるようで妙な感じだ)、それはこうした公共空間設計で達成されるものだろうか。女性が暮らしやすい社会は、「男性によるおむつ替えを例外的なものにした状態のまま、女性によるおむつ替えをスムーズにする」ことではつくれないはずだ。

 設計事務所、市役所・市長、市議会、新聞社の、誰も妙だとは思わなかったのかな。未婚で、子育ての非当事者の私でも「ん?」と思うところなのだけれども。

 木で作れば、自動的に人に優しくなるわけではない。われわれ森林・林業研究者は、コンクリートと鉄が国産材に置き換わる(国産材需要が量的に増える)のを何でもありがたがる段階から、そろそろ抜け出るべきだ。どんな、誰のための木造・木質建築物ができるかを問わねばならない。それは林業経済学のつとめだと思う。

20240104

 惣菜コーナーに「(CK)じんだ」というパックが売られていた。この茹でた枝豆を砕いたようなものはなんだろう。この粉を正月に食べる風習が上伊那にはあるのか……?

――食べてみてわかった。これ餅の外側だ!

20240102

 論理(ロゴス)と情熱(パトス)という、ふつう相反するものだと思われているものが統一したところに、構想力(人間のクリエイティブさ)があるんだ、ということを言いたいのだろうと思うが、それだけのためにいったい何ページ書くんだ三木清(『構想力の論理』)。

 河野真太郎『はたらく物語』(笠間書院、2023)。この人の単著は全部読んでるが、いずれも面白い。

20240102

 われわれが、いかに不安定な土地の上に暮らしているかを、いやおうなく知らされる正月だった。

 生活に必要なものを蓄えるとか、緊急時に持ち出す荷物を決めておくとか、一次救命の方法を身につけるとかして、おたがい自然災害への備えをしましょう。可能な人は消防団に入りましょう。