20231027

 表土を柔らかい状態に保って雨水の浸透を妨げないようにするとか、滞水しては困るところを排水して人間にとって望ましい状態にするというのは、私もそうしたほうがいいと思うのだけど、それを「大地が呼吸できるようにする」というふうに説明されると「?」となる。

 天然更新をはかる、広葉樹を増やす、実生の苗を用いて遺伝的多様性を保つ、活着しやすい苗木にする、などは結構なことで、私もそう思うのだけど、それを「栽培時に根切りするから直根が伸びなくなる」などの説明をされると「ほんまか」と思うのである。

20231025

 林野庁の文章で「森林管理」「森林施業」「森林整備」が使い分けられているとき、その意味内容の差はどのように定義されているのだろうか。とくに後2つがどのように使い分けられているのか、文章を読んでもよくわからない。

「森林整備 森林施業とそのために必要な施設(林道等)の作設、維持を通じて森林を育成すること」「森林施業(施業)  目的とする森林を育成するために行う造林、保育、伐採等の一連の森林に対する人為的行為を実施すること」(林野庁「森林計画等の用語解説」)

――ということは、森林整備=森林施業+施設の作設・維持か。

ただ、

「森林整備とは、上記事業内容のa~jの施業とする〔……〕a 人工造林/b 樹下植栽等/c 下刈り/d 雪起こし/e 倒木起こし/f 枝打ち/g 除伐/h 保育間伐/i 間伐/j 更新伐」(「森林環境保全整備事業実施要領の運用」令和5年3月29日付け4林整整第773号)

みたいな書き方もある。

20231024

今日は午後は箕輪町、夜は南箕輪村の会議であった。司会業だ。きらきらしたジャケット着て、蝶ネクタイとかせねば。

20231024

 学部内の生協食堂のレジには、かつてサラダバーをやっていたころの電子はかりと、はかりを置くための台が残っていて、これがためにレジ側からは客の盆の上に何の皿が載っているのかが見えづらい構造になっていた。皿が見えるように、のぞき込む動作がしばしば見られた。

 わたしは生協運営委員というのをやっているので、委員会のときに「当面サラダバーをやるつもりがないのなら、はかりを外してレジから見やすくすれば負担が減るのでは」と意見した。

 今日、台は外され、レジ前のレーンが本来の長さを取り戻した。意見すれば改善されるものだ。

 ただ、レジを打っている人が「あの台のせいで見にくいんだよね」と訴えていたのなら、とうに外されていたはずである。実はレジ側にとっては、台があろうがなかろうが問題なく、小銭を取り出して現金払いする私のような客のほうにこそストレスを感じているのかもしれない。だとすると私の「改善」意見は余計なお節介である。

20231021

 秋祭に「カヌレ」というものが出ていたので求めて食べたてみたが、見た目よりも硬くてびっくりした。なんであんな硬いの。採食する動物から中身を守っているの。

  • カヌレは生産地から長距離を運ばれるので、輸送途中で壊れないように固く作られている。
  • カヌレは、高く積み上げ、効率よく運搬できるよう、固く作られている。
  • カヌレが固くなるのは、日持ちをさせるために窯の温度を高くして焼くという製造上の都合であり、食感を改善するために目下外側まで柔らかくする研究がおこなわれている(が実現していない)。
  • カヌレの発祥地では、パンなどを穿孔して食害する虫がおり、表面を固くする必要があった。発祥地ではカヌレと虫との共進化が生じており、どんどん固くせざるをえなくなっている。カヌレを食べる際には、すでに丸鋸を要するほどである。
  • かつてカヌレは表面も柔らかかったが、領主に「カヌレの角に頭をぶつけて死んじまえ」と侮辱された菓子職人が、ならばとおもくそ固く作った故事にちなみ、現在でも固く焼くことになっている。
  • 表面が固いのは副次的なことで、カヌレの表面が炭化していることが重要である。これはカヌレが雷にうたれたことを表している。ある菓子職人が、「あなたという雷に私は打たれた」ということを伝えようと表面を炭化させたカヌレを贈ったが、伝わらなかったという故事にちなむ。カヌレの菓子言葉は「私には固く秘めた想いがある」。
  • アラビアを旅し、砂漠で飢えた菓子職人が、誰かが残したカリカリに乾燥したパンをみつけて命をつないだ。その味を再現しようとしたが、故郷の湿度では腐ってしまう。そこで表面を固く焼き、味を近似的に表現した。カヌレをうみだした菓子職人は、それでも納得できず再び砂漠へと赴いた。職人のその後を知る者はいない。
  • カヌレというものはもともとなく、近代こそがカヌレをつくった。
  • カヌレが固いのではなく、他の食品が柔らかくなったのである。
  • カヌレは本式では、コーヒーにひたして柔らかくなったところを食べるもので、固いまま食べるのは略式である。19世紀後半のモンマルトルのボヘミアンがはじめた。
  • 実はカヌレには固いものも柔らかいものもあるが、固いものだけが日本に紹介された。瓦せんべい屋が売り始めたからだという説がある。

20231016

 小学生に、いまハマっているものを聞くと、ジェネレーションギャップをびしびし感じる。なにひとつわからない。農村調査をしたてのころみたいな感じで面白い。農家と同じで、けっこう丁寧に説明してくれる。

 「このポケモンは、まえのxxxxっていうポケモンとほとんど形が同じで、色と名前を変えただけ」「最近のポケモンは怖くなって、かわいくない」とか言ってた少年が、同時に「サンタさんにはポケモンカードを頼もうと思う」と言う。愛好ゆえの批評が培われていて面白い。

20231015

 高速バスで、不思議な節まわしで車内アナウンスをする運転手がいる。

「①次は伊那インターにーー②とまりーーー(ます)」

「①車内にお忘れ物のないようーー②ご注意くだーーー(さい)」

と、①の部分を高く、②を低く発音し、語尾はほとんど聞こえない音になる(発音される場合は高く発音する)。イントネーションも特殊である。無線交信など普通の会話のときはそうなっていないので、アナウンスのときにだけこうしているのだろう。

 これはどういうふうに開発されたのだろうか。客の聞き取りやすさを考慮して、という可能性はたぶんない。実用的には、聞き取りにくいことこの上ないからだ。日本語は語尾で肯定/否定を明らかにするので、そこが消えると本来は困る。

 バス会社の社内教育によるものかもしれない。他の運転手はここまで高低をつけていないように思うが、語尾のですますをきわめて弱くし、その前の母音をのばす人は他にもいる。

 最初は普通にしゃべっていたのだが、だんだんとこのように変化してきたのかもしれない。たとえば、長い文章を記憶する方法として。あるいは、「同じことをテープが喋るのだから実用的にはなくてもよい肉声アナウンスを、社内方針でしなければならないがゆえに、聞き取れなくてもいいものとして話すスキャットのようなもの」なのかもしれない。

20231010

月には岩や砂はあるが土はない。土は生物がいて構成されるものだからだ。だから団粒構造もないしパイプ流もない。たぶん今の火星にもない。そういう天体に雨が降るとどうなるんだろうか。すぐ泥流になるのかしら。

20231009

 それなりの大きさの縫い物をするにはミシンが必要だろうということで、手芸店に行って「初心者むけのミシンはどれですか」と尋ねた。

 店員さんには丁寧に対応していただいたが、

「なにを縫うんですか?」

「布を……」

「厚物は縫いますか?」

「どこからが厚物なんですか」

という、おそらく店側にとっては「こいつは何がしたいんだ」という回答しかできず、一通り説明してもらって帰ってきた。用語も分からなかったが……。

 家電量販店で「インターネットができるパソコンはどれ」と聞いている客はこんな感じなのだろう。その分野をまるで知らない者がものを買うときの難しさを思い知った。

20231009

 魔法瓶が役立つ季節になってきた(夏も使ってたけど)。

 海外では「真空瓶」とか「熱」とか呼んでいるところ、日本では「魔法瓶」と表現しているのが面白い。「外法瓶」とか「妖術瓶」ではなく。もとが舶来物だからだろうか。お湯が温かいままというのが、われわれに一番身近な魔法なんである。

 入れたときよりお湯の温度が上がる「悪魔瓶」というのがあってもいいんだが。マックスウェル社製。ラプラス社の悪魔瓶は、お湯を入れる以前から飲むことが確定している。