『マルクス・ガブリエル 日本社会への問い 欲望の時代を哲学するIII』(NHK出版)を読んだが、NHKはガブリエルから言葉を引き出そうとしすぎでは。日本の文化や社会・経済の研究者ではないのだから、あんまりそこに突っ込んでもしょうがないということを訊いている。それよりも、「倫理資本主義」を具体的にどう実現させるのかを聞いたほうがいい。日本は1990年代を再生産しすぎで21世紀に入れてない、というあたりは、そうですなと思うが。
たとえば135ページで、ガブリエルが「天皇陛下」という言葉を使っていることになっている。ほんとに「His Imperial Majesty / Seine Majestät der Kaiser (?)」みたいに言ったのだろうか。単に「Emperor」とか「Kaiser」と言っただけでは。本当に彼が語った内容(を翻訳したもの)なのか、それとも彼の名でもって丸山俊一(編者)らが自分の語りたいことを書いているのかが疑わしく感じられるのである。