20231003

 映画「鴛鴦歌合戦」(おしどりうたがっせん)を観た。

 白黒映画だが、カメラワークも脚本も、それほど古さを感じない。オペレッタ(ミュージカル)+時代劇という意外な組み合わせである。殿様の家来たちが、小鼓や篠笛?を持っているのに、いざ演奏し始めるとジャズバンドの音がするのも笑いどころだ。ヒロインの父親は志村喬が演じているのだけど、こいつがガラクタ骨董にはまっているどうしようもない人物で、威厳というものがない。最後は「金より愛」というところに落ち着くが、とくに感動もない、軽い娯楽映画である。エンディングの出演者が主題歌にあわせて踊るのも新しい。

 このお気楽な映画は1939年の作品である。

 当時すでに治安維持法も国家総動員法も布かれており、公開3か月前には第二次世界大戦が始まっている。映画のちょうど2年後には真珠湾攻撃だ。私などは暗黒の時代という印象なのだけど、この作品からはそういう感じはうけない。破滅の6年前なのだが。