「箕輪町森林ビジョン検討委員会」の現地視察で見た場所の一つ。委員には様々な人がいるので、「ビジョン」を作るにあたって、町内の問題となっている場所やこれまでの成果など「同じもの」を見るというのは大切だと思い、委員長(私)から提案して見学を組んでもらったものである(鈴木春彦『地域森林とフォレスター』にも、現場で話をする重要性が書かれている)。
この現場は、2年前の8月豪雨で川が増水して倒木がでてしまった。道が細いので今のところ搬出はできていない。川岸はえぐれたが、石仏のところで止まっている。
これを「むかしの人は河川氾濫の範囲を知っていたのだ(だから石仏は難を逃れたのだ)」と考えるのは生存者バイアス(錯覚)である。これより川側にも石仏があり、それは流されたかもしれないからだ。石仏を設置するために大きめの岩が選ばれ、その結果流されなかった、ということであろう。そもそもこの石仏は災害碑ではなく、「為人馬険難安全……」と書いてあるので山道の交通安全の碑(馬頭観音)である。そこのところさすが委員のみなさんは的確で、「次は流される」とおっしゃっていた。保存するなら今のうちに移設するのがよいと思う。
河川への倒木をどうするかは難しい。片づけるのが最善だろうけど、事情あってそういかないところもあるだろう。倒木を短く刻めば少しの水量でも流れていってしまうし、大きければいざ流れたときに橋に引っかかって川を堰き止めてしまう。私は、集落近辺の谷部の樹高は低く抑えるべきだと思っているけれど、河川というものは長く伸びており、そんなに簡単にできることでもない。