映画「モスラ」(1961年)を初めてみた。
南海の孤島から小美人をさらったら、それを取り返すために巨大な蛾がやってきて大パニック、という単純な話だが、それだけの話のために広く大きい模型を使って特撮撮影しているのが恐れ入った。モスラはわりとかわいい。
巨大な菌類が茂る森から、巨大な虫が人間の力など ものともせずやってきて暴れ回り、それをなだめられるのは不思議な力をもった乙女だけ、というのは明らかに「風の谷のナウシカ」の原型だ。しかし「モスラ」を観た人は多かったが、その中から「ナウシカ」を作り得たのは1人だけというのも、また興味深い。「華麗なるヒコーキ野郎」(1975年)も「ドーバー海峡の大空中戦」(犬のホームズの)や「紅の豚」のあれこれの元ネタなのだけど、万人が「ヒコーキ野郎」みて「ドーバー」「豚」を作れるかというと、そうはならない。まことに換骨奪胎とは難しい。