信州大学農学部 森林政策学研究室
信州大学農学部 森林・環境共生学コース(2025年度 山岳圏森林・環境共生学コース、地域協創特別コース) 森林政策学研究室のホームページです。
書いている人・描いている人:三木敦朗
最終更新:2025年1月21日
山岳圏森林・環境共生学コース、地域協創特別コースで一緒に学びましょう(コースの私的な紹介)
挿絵(コースで学ぶ人々。絵:三木敦朗)  山岳圏森林・環境共生学コースと、地域協創特別コース に興味をもってくれた人、ありがとうございます。
 山岳圏森林・環境共生学コース、地域協創特別コースの「どういうところが面白いのか」を、私の研究分野(森林政策学・林業経済学)から少し紹介します。

1. 日本の7割がわかる
 森林と中山間地域の農地を足した面積は、日本の陸地の71%。日本はほとんど「山岳圏」です。
 温暖化対策、防災、天然資源、生物多様性、文化、どれも この7割を抜きには語れません!

2. 現代社会の問題点が集中的にあらわれている
 もちろん問題も多いです(多いから研究しています)。
 たとえば、農林地の過少利用の問題があります。世界的にみれば、森林は減少しています。一方で、日本では森林は利用が低調で「多くの人が手放したがる土地」になっています。全体としては不足しているのに、日本では余っている。どうしてこんな不思議なことがおこるのでしょうか?
 また、過少利用にともなって、里山の生物多様性が損なわれたり、クマやシカ・イノシシなどが人間の居住空間に出没したり、様々な問題が生じています。
 これらは、「農山村が不便なところだから生じている」といった単純なものではりません。現代の社会全体がもつ問題が、山岳圏で湧き出ているのです。だから、山岳圏で学ぶことは、社会全体のおかしなところを知るということでもあります。

3. 次の時代がつくられる瞬間を体感できる
 同時に、山岳圏は新しい試行錯誤がたえず おこなわれている場所でもあります。
 これからの日本(とくに地方社会)は、人口減少していくので低密度居住になっていくでしょう。そこで可能性が高まっているのが、地域の自然資源を利用しながら、環境負荷を低くしていくライフスタイル、そうした社会づくりです。自然資源を地域の財産とする、コモンズという形の実践も、山岳圏で取り組まれています。
 これを学び、実際に自分でも関われる。とくに地域協創特別コースでは、そうしたプロジェクトに関わりながら(協創しながら)学ぶことになるでしょう。

4. 現場のただなかで学べる
 信州大学農学部は、村にあります。山岳圏、あるいは地域協創の現場が身近にあります。社会の問題点と、その解決策は、現実のなかにあります。大学のなかでの学習は、現実を見るときの見方を養うものです。信州大学農学部は、この両方がセットにしやすい立地だといえるでしょう。長野県には、地域で面白い取り組みをしている人たちが大勢います。
 もちろん、村にいるから自動的に現場に接することになるわけではありません。村にいても、地域とは何の関わりもなく学生時代を過ごすこともできてしまいます。重要なのは、あなたが山岳圏、地域協創の現場に踏み出す気持ちをもつことです。

 山岳圏森林・環境共生学コース、地域協創特別コースで、一緒に新しい時代をつくりましょう!!
森林政策学研究室の紹介
挿絵(第1回信大マルシェのイラスト。絵:三木敦朗)  森林政策学研究室では、人間と森林との関わりに注目して研究しています。
 人間と森林との関わりは、木材などの生産はもちろん、日々の暮らしやレクレーションのための利用、二酸化炭素吸収や生物多様性の保全、災害の防止など、様々なものがあります。それらが現在うまくいっていないとしたら、それはなぜでしょうか。どのようにすればよくなるでしょうか。
 森林政策学研究室が扱うのは、そうした社会的問題です。問題の中身を調べ、提案をし、最終的には社会をよりよくしていくことを目指しています。
 森林政策学研究室で学ぶのは、(学界の名称でいえば)林業経済学という分野です。人間は、太古から森林を利用してきました。ときには収奪という形をとることもありました。こうした人間と森林との関わりは、資本主義社会のもとでは独特の形をとっています。森林を利用する動機が、個人や支配者のニーズから、利益の追求へと変わってくるためです。この資本主義社会という時代(人新世)の、人間と森林との関わりの歴史的な特殊性と、それによって生じている問題の解決方法を探るのが、林業経済学です。
 「森林政策」とは、国や都道府県・市町村がおこなうものだけではありません。人々が「森林をこのようにしたい」と思い、誰かと協力して実行しようとすることそのものです。民主主義(デモクラシー)とは、民衆(デモス)自身が力(クラトス)をもっていることです。あなた自身が、森林政策の担い手なのです。

オープンキャンパス用の解説はこちら(2024年)
学部2~3年生むけ解説はこちら
研究室のようす
研究室日誌(随時更新)

現地見学のようす 専攻研究(卒業論文にむけた研究)ではもちろん、それ以外の機会にも森林・林業に関係する現場の見学をしています。
ゼミのようす 地域で農林関連事業をおこなう人たちから、事業の課題をうかがい、学生がその解決のヒントとなりそうな研究を調べて考察し、報告して、それへの意見をいただくというゼミをしました。大学の隣にある伊那市産学官連携拠点施設 inadani seesの協力を得て実施しています(2023年度)。
地域活動のようす 研究を通じて交流した地域での活動にもボランティアとして参加し、そこから農山村の現状を学んでいます。写真は、クマの出没対策として地域でおこなわれている、やぶの刈り払いに参加しているところ(2024年度)。
新聞記事の切り抜き 山岳圏森林・環境共生学コース、地域協創特別コースに関係がある新聞記事を切り抜き、寸評を加えています。共通の話題をつくり、コースが学びの共同体になるようにしています。
2025年度は、研究室ではこんなことをする計画です。
学生の研究
挿絵(第2回信大マルシェのイラスト。絵:三木敦朗) 【2024年度】
【2023年度】
【2022年度】
【2021年度】
【2020年度】
卒業生の進路(過去5年間)
挿絵(古い住宅のリノベーション案。絵:三木敦朗)
読みものなど
教員 三木敦朗(みき あつろう):助教
顔 メール:mikia26【あっと】shinshu-u.ac.jp
略歴:1978年滋賀県生まれ。信州大学学術研究院農学系 助教。博士(農学)。信州大学農学部森林科学科、同大学院農学研究科、岐阜大学大学院連合農学研究科を卒業後、(財)政治経済研究所、岩手大学を経て現職。
研究内容の詳細 Instagram

【 一般むけに書いたもの 】

多くの人に読んでもらうことを目的に書いたものです。

【 社会的な関わり 】

下記のような業務をさせたい場合は ご一報ください。森林政策・林業経済分野に関係のある内容でしたら、基本的にお引き受けします。まずは上記「一般むけに書いたもの」をご覧いただけると、どのような考えをしているかが分かると思います。委嘱手続きについては、こちらの様式を参照してください。

【 主な著作 】

本の表紙森林と時間:森をめぐる地域の社会史
山本伸幸編、新泉社、2024年
第1章「山造りに出会った人びと――島﨑洋路と森林塾」を執筆。
本の表紙森林を育てる理由、伐る理由
東京林業研究会編、咏林堂、2024年
「総理のためのスギ増伐」を執筆。
本の表紙主伐期における林業機械化の課題とこれからの森づくり
東京林業研究会編、咏林堂、2023年
「関わる人を増やす林業技術」「対談 AIと林業経済学分野の教育」を執筆・担当。
本の表紙地域森林管理の長期持続性:欧州・日本の100年から読み解く未来
志賀和人・山本伸幸・早舩真智・平野悠一郎編、日本林業調査会、2023年
第2章8節「古絵図管理にみる地域意識:諏訪・上伊那の財産区・生産森林組合」を執筆。
本の表紙テーマで探究 世界の食・農林漁業・環境 (3) ほんとうのエコシステムってなに?
二平章・佐藤宣子編、農山漁村文化協会、2023年
「林業の歴史」項を執筆。
本の表紙東アジアのグローバル地域経済学:日韓台中の農村と都市
加藤光一・大泉英次編、大月書店、2022年
第9章「テレワーク化・気候危機と森林共生社会」を執筆。
本の表紙時代はさらに資本論:資本主義の終わりのはじまり
基礎経済科学研究所編、昭和堂、2021年
第11章「資本に呑み込まれる農業:地代論の可能性」を執筆(加藤光一と共著)。
本の表紙森林学の百科事典
日本森林学会編、丸善、2021年
「政策と法制度」項を執筆。
本の表紙教えて!信州からの防災学
信州大学地域防災減災センター、信濃毎日新聞社、2020年
「調理や暖房確保 非常時に有効まきストック」項を執筆。
本の表紙日本・アジアの森林と林業労働
信州大学林政策学研究会編、川辺書林、2013年
監修。「「やま」の兼業的・自給的利用」を執筆。

【 研究中の主なテーマ 】
〒399-4598 長野県上伊那郡南箕輪村8304信州大学農学部森林政策学研究室
(研究室はB棟2階にあります)
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