2025年8月21日
8月6日につづき「課題発見サマースクール」で、山岳圏森林・環境共生学コース、地域協創特別コースの1~2年生と、上松町を見学しました。上松町は、木曽ヒノキに代表される林業の町で、また家具製作を習うの長野県上松技術専門校でも有名です。ここで取り組まれている、木工と町づくりを結びつけた実践を学びました。
2025年8月20日
「
なぜ森は燃えるのか?:気候変動と林野火災のリアル」(気候変動予測先端研究プログラム)をオンラインで傍聴しました。研究上はもちろん、地域で消防団活動をしていることもあって、林野火災と気候変動との関係には関心があります。
2025年8月19日
「手入れの行き届かない森林が増えている」と言われます。本当でしょうか。
この言葉は、森林のことを語る際の、慣用句・枕詞としてよく使われています。でも、これを裏づけるデータ、つまり「手入れの行き届かない森林は、かつて(xxxx年)はxxxxヘクタールあったが、現在はxxxxヘクタールに増加している」という文章やグラフ・表を、あなたは見たことがあるでしょうか。
この慣用句を、二つの部分に分けて考えてみましょう。一つは「手入れ」とは何なのか。もう一つは、それが不足している森林が「増加」しているという根拠はなにか。
「手入れ不足の森林が増えている」という言葉は、1980年代に一般的になったようです。「国会会議録検索システム」で、「林が増」というキーワードで検索してみると、1978年(昭和53年)に「間伐不実行林が増大」という言葉が出てきます。当初は、間伐していない森林が増えていることが問題視されていました。
日本の人工林の多くは、1950~70年代に植栽されたものです。人工林の面積は、1960年からの25年間で、300万ha以上も増えています。人工林は、植えてから15年くらいで間伐を始める必要があります。1980年代に、間伐していない森林が増えていると言われ始めたのは、一斉に植えた人工林が一斉に間伐すべき時期をむかえたこと、その同時期に林業の採算性が悪化したことと関係があります。
1980年度(昭和55年度)版『林業白書』は、間伐すべき森林が390万ha、そのうち「緊急に初回間伐を要する」森林は193万haあると試算されています。一方で、当時の間伐実施面積は年間10万haでした(90ページ。国有林を除いた面積)。
1980年代は、手入れとは主に間伐のことであって、それが必要な森林が増えたのは、その前に一斉に植えたからでした。このあたりでは根拠が明確だったといえるでしょう。
面白いのは、国会会議録を調べていくと、1990年代に入ると「管理が適正に行われていない森林が増加」といった慣用句表現が多くなることです。具体的になにが不足しているということが抜けてきて、「森林とはそういうものだ」という語り方になるのです。
気候変動枠組条約 第3回締約国会議で「京都議定書」が定められたこと(1997年)や、災害防止や生物多様性保全といった森林の多面的機能に着目した「森林・林業基本法」の成立(2001年)などをきっかけに、こうした慣用句はひろく一般にも普及していったのだと思います。
もちろん、間伐が必要な森林は、引き続き存在していました。しかし他方で、1981年から間伐を促進する事業が継続しておこなわれています。2008年には、間伐等特別措置法という法律もつくられました。京都議定書で、間伐などの「森林経営」(Forest Management)をした森林を二酸化炭素の「森林吸収源」としてカウントできることになり、第一約束期間(2008~12年)の目標達成のために間伐を促進する必要があったからです(以降の第二約束期間、パリ協定でも同様)。

だからこの間、かなりの面積が間伐されています。2007~2023年度に間伐された面積を足し合わせると、760万haほどになります。それ以前のデータは欠けがあるのですが、試算してみると、1990年代後半以降 約1100万haの間伐をしてきたようです。
1100万haというと、日本列島の人工林の面積(1000万ha)を超えています。間伐は、同じ森林に10年ほどの間隔をあけて繰り返しおこなうものだからです。したがって、実際に間伐された森林面積はもっと少ないですが、それでも500万haくらいは少なくとも1回、間伐しているのではないでしょうか。
もう一つ、データを示しておきましょう。パリ協定のもとで、日本政府が国連に提出している『
日本国温室効果ガスインベントリ報告書2023年(CGER-I165-2023)』です。さきに述べたように、間伐などの「森林経営」をした森林は「森林吸収源」としてカウントできます。だから、その根拠を報告しているのです。これによれば、人工林で「森林管理」が実施された率は、低くて74%、高ければ94%だそうです(pdfファイルの695ページ)。
パリ協定上の「森林経営」には、植栽から伐採までのすべての作業が含まれるので、報告しているのは間伐面積だけではないのですが、人工林の7~9割は なんらかの「Management」がなされていると政府は言っているのです。
この30年間、間伐のために、林業関係者が たゆまぬ努力を続けてきたのだから、人工林の5割か9割かはともかくとして、それなりの面積が「手入れ」されてきたのは確かでしょう。
データを見ると、「手入れの行き届かない森林」はあるけれども、現在それが「増えている」とまでは言えないのではないか。では、なぜ私たちは「増えている」と感じたり、そう言ったりするのでしょうか。あなたが「増えている」と感じているとしたら、それはなぜですか。探ってみましょう。
もちろん、「増えている」という感覚が正しいこともあります。同じ「増えている」でも、一般論として「森林とは手入れ不足のものなのだ」と言っているのか、なにか身近な、具体的な森林を観察した結果「以前より状況が悪くなっている」と言っているのかで、意味は変わってきます。森林を学ぶ人は、常套句から一歩すすんで、具体的な森林をイメージして、語ることが必要です。
(図出典:森林・林業統計要覧。参考:堀靖人「間伐材」日本林業技術協会『森林・林業百科事典』丸善、2001年。)
2025年8月7日
マレットゴルフの団体に、調査にうかがいました。
マレットゴルフは1977年に福井県で発祥したニュースポーツですが、1980年代以降、長野県の各地で普及しました。公園や河川敷など様々な場所にマレットゴルフ場が整備され、森林の中のコースもあります。このあたりの歴史を調べて、他の森林利用と比較しようと考えています。
2025年8月6日
「課題発見サマースクール」で、長野県林業総合センター(塩尻市)に行きました。
これは、「
木曽谷・伊那谷フォレストバレー」という、長野県と、このエリア内にある教育・研究機関とが協力して、木曽谷・伊那谷地域を「木や森の「学び」と「暮らし」に会える場所」にしていこうというプロジェクトの一環です。
今回の「サマースクール」では、信州大学農学部 山岳圏森林・環境共生学コース、地域協創特別コースの1~2年生が、塩尻、木曽、伊那を巡って、それぞれの土地での取り組みを学びます。
この日はその1日目で、長野県の研究機関が森林についてどんなことを研究・普及しているのかを見聞きしました。木の柱・梁や壁がどのくらいの強度なのか、実際に壊れるまで力を加えて試験する装置は、農学部の装置よりはるかに大型です。試験林の使い方も、農学部演習林とは少し異なるのが面白い。県内の林業現場への技術普及につなげていくための森林と、学術研究が第一目標の森林とは、特徴に差があるのです。センター内では、林業に新規就業した人たちが研修中で、樹木の伐倒訓練も見せてもらいました。
参加学生にとっては、初めて見るものばかりだっただろうと思います。よい経験でした。8月下旬に、2・3日目があります。
2025年8月2日
南箕輪村が開催した、天竜川堤防でのアレチウリの抜き取りに参加してきました。堤防に延びたアレチウリ(ときどき、じゃまなクズも)を抜いてきました。
アレチウリは よく見かけますが北アメリカ大陸原産の植物で、特定外来生物に指定され、移動させることはできません(外来生物法)。「日本の侵略的外来種ワースト100」にも指定されています(日本生態学会)。
注意しなければならないのは、外来種の問題は、外国人排斥・排外主義に利用されやすいという点です。生物学・生態学の用語や概念は、「優生学」などの例にあるように、差別に「応用」され、ときに人命を奪ってきたという歴史があります。農学を学ぶ人は、この負の歴史を知り、学術用語・概念の意味をはっきり学んで、それ以外のところに比喩などで「応用」されないように注意する必要があります。冗談でも「たとえ」として使ってはいけません。また、自分が知識として知っているだけでなく、げんに用語・概念を「応用」しておこなわれている差別に反対し、やめさせていく姿勢が求められます。
環境省もいうように、侵略的外来種は「本来の生息地ではごく普通の生き物として生活していたものですので、その生き物自体が恐ろしいとか悪いというわけではありません。たまたま、導入された場所の条件が、大きな影響を引き起こす要因を持っていたに過ぎません」。学習には細心の注意が必要です。
今回の抜き取りの事前説明では、アレチウリとともに堤防に生えているクズは、日本では普通にいる植物だが、人間が移動させた結果、外国では「世界の侵略的外来生物ワースト100」(国際自然保護連合)とされるほど繁茂して困っていることも紹介されていました。必要な紹介だったと思います。
2025年7月30日
覚える必要はないのですが、林業用語では「萌芽」のことを「ぼうが」と濁音で発音します。ふつうは「ほうが」ですね。
萌芽とは、切り株から生えてくる芽(ひこばえ)のことです。里山では、薪などを繰り返し得るため、萌芽能力の高い広葉樹が利用されてきました。萌芽によって樹木・森林を再び生やすことを、「萌芽更新」といいます。
「萌」という文字は常用漢字には含まれていないので、公的な文書では ひらがな書きされます。最新の『森林・林業白書』も「ぼう芽」と書いています。
なぜ「ほ」ではなく「ぼ」なのか。これは昔から不思議なこととされていたようです。林野庁でも要職を務めた野村
進行という人は、研究書でわざわざ
「昭和の初期に本多静六先生の講義を聞いたときに、萠芽という字を「ぼうが」と発音されているのを聞いたが、萠芽とは〔……〕「ほうが」と発音すべきであって、萠芽を「ぼうが」などという発音するものは手許にあるどの辞書にも見当たらない。もっとも、これには私にも責任がある。というのは、昭和23年国有林野経営規定を制定の際に、当時の制限漢字に萠という字が無かったので〔……〕従来学校で習ったままに「ぼうが」と書いたが、ここに誤りのもとがあったのかも知れない。」
と書いています(野村進行『森林経理学考』農林出版、1975年、12ページ。「萠」は萌の異体字)。
本多静六(1866~1952年)は、戦前期の代表的な林学者です。彼らは「ぼ」と発音していたが、それは誤りだった、というわけです。
野村は「どの辞書にも見当たらない」と書いていますが、そんなことはないと思います。たとえば大正期に成立した漢和辞典『大字典』(1940年。初版1917年)は、「萌芽」の読みを
「【萌芽】バウ・ガ」
と書いています(上田萬年ほか編『大字典』講談社、1963年(新装版)、1899ページ)。「萌」の音読みも、バウ、ミャウ、ボウ、モウ、ベイなどを紹介していて、逆に「ほう」はありません。
つまり、本多らが発音していた「ぼうが」も、根拠のないことではないということです。
もっとも、19世紀末の国語事典『言海』(大槻文彦編、1889年)では「
はう‐が(名)萠芽」と書かれています(798ページ)。当時 両方の発音があったのでしょう。
日本に森林・林業の近代的学問が導入されたのは19世紀末のことです。専門用語としての「萌芽」には、今でも古い発音が残されているのだと思います。
2025年7月29日
「天然林」は、自然が作り上げた森林とは限りません。
林業用語には、独特のものがあって、「人工林」「天然林」などはその代表的なものです。
人工林は、人間が植えた森林のことです。天然林は、人工林ではない森林のことです。だから「人間が植えたわけではないが、生えてきたあとは人間がものすごく利用・管理してきた」という森林は、天然林に分類されます。そんな森林あるのでしょうか?
たとえば里山です。里山の一部には、自然に生えてきた森林から、人がほしい樹種を残したり、伐採して利用したり、そこから再生してきた芽(萌芽)を剪定して育てたりしたものがあります。植えたわけではないので天然林ですが、その姿は人間の関与によって大きく変化しています。
逆に、「人間が植えたのだが、その後、まったく管理しなかったので、他の樹種が入ってきて伸び放題になっている」という森林は、人間の関与は植えた一瞬だけですが、植えたので人工林です。
だから人工林・天然林という区分は、植えたか植えていないかの差で、森林の“自然っぽさ”とは直接には関係がないと考えたほうがよいでしょう。「人工林」と聞くと、その名前の響きから、自然に反するもののように思う人もいるかもしれませんが、自然に則した人工林を育てることもできます。森林・林業に関心を持つ人には、「人工林はだめなんだ」と十把一絡げには言ってほしくありません。人工林について論じるときには、「あそこの人工林が」という具体的なイメージをもって話すことが大切です。
とはいえ、人工林の多くは、単一の樹種をそろえて植えられたものであることも事実です。
国連食糧農業機関(FAO)は、報告書「世界森林資源評価」(Global Forest Resources Assessment、2020年版)で、人工林(Planted Forest)を、「Plantation Forest」と「Other Planted Forest」に分類しています。Plantation Forest は、1~2樹種、同樹齢で、等間隔に植えられている森林のことで、日本の人工林の多くはこれに該当すると考えられます。「プランテーション」というと、ちょっと意外な感じがします。
なお、日本の人工林には針葉樹が多いのですが、人工林=針葉樹、天然林=広葉樹、ではありません。日本三大美林にかぞえられる長野県の木曽ヒノキは、針葉樹の天然林です。フランスは、広葉樹の人工林林業がさかんな国です。
2025年7月27日
天然記念物「黒岩山」保全協議会(飯山市)の活動に参加しました。森林政策学研究室では、地域で取り組みをしている人にヒアリングするのが調査の基本ですが、家や事務所などで話を聞くだけでなく、実際の活動に参加・見学して、そこから学ぶことを重視しています。
2025年7月25日
昨日の続き。『森林・林業白書』(2025年)は、林業で女性従事者が増えることについて、
「女性の活躍促進は、現場従事者不足の改善、業務の質の向上、職場内コミュニケーションの円滑化等、様々な効果をもたらす」
と書いています(115ページ)。
これは2022年の『白書』から出現した表現なのですが、適切ではないと私は感じます。女性従事者は、林業の仕事をするために職場にいるのであって、「質の向上」とか「円滑化」のためにいるのではないからです。
たしかに、調査していて「女性のほうが林業機械を丁寧に扱う」という話は聞いたことがあります。でもそれは個々人の才能によるものであって、それを「女性の活躍促進」の「効果」と表現してしまうと、女性にだけ「業務の質の向上」を負わせることになってしまいます。
「コミュニケーションの円滑化」は、もっと変です。女性の従事者が「あなたのおかげで(あなたが女性なので)コミュニケーションが円滑化したよ」などと周りに言われたら、嫌な気分になるはずです。コミュニケーションが苦手な女性だっているし、そうした人が林業で働いてもよい。女性従事者に「円滑化」を期待するのはおかしいです。「職場の華」と呼んでいた旧時代の感覚と同じです。
「質の向上」や「円滑化」(いわゆる「報・連・相」)は大切なことですが、それが実現するように職場を整えるのは雇用主や管理職の責任であって、女性従事者が醸し出してくれる「効果」ではありません。『白書』が書くべきことではないと思います。政府による「女性らしさ」の押しつけになってしまいます。
スウェーデンの林業教科書『Working in Harvesting Teams(伐採班で働く)』(2013年)は、「まえがき」で、
「男性と女性は、林業機械のオペレータとして全く同じ可能性を持っており、いずれも優秀なオペレータとなり得るのは間違いないことである。〔……〕優秀なオペレータになる可能性と性別には何ら関連性はなく、求められるのはただ、モチベーションとプロ意識に対する関心だけである」
と本の姿勢を示しています(『生産性倍増をめざす林業機械実践ガイド』全国林業改良普及協会、2019年、上巻7ページ)。こういう姿勢を、林業先進国に学ぶべきです。
なお、公平性を期すために付言すると、『白書』は、森林組合の意思決定に女性が関わる機会が少ないことを指摘して、改善を求めています(115ページ)。これは重要な動きです。
これまでの『白書』が、女性従事者について どのような記述をしてきたのか、そこから読み取れるジェンダーは変化しているのか、というのは卒論で扱えるテーマだと思います。やってみませんか。
2025年7月24日
「林業は男性の仕事である」と思っている人がいたら、それは間違いです。

国勢調査のデータから、林業従事者の女性比率を計算すると、2020年は 6.2% です。1960年には 25.4% でした。男性のほうが多いとはいえ、林業は女性も働く産業です。
作業別に見ると、植林や下刈り(植えた木と競合する草木を刈る作業)などの育林従事者は、1985年には2割以上が女性でした(統計はありませんが、1960年ごろの比率はもっと高かったでしょう)。政府の『
森林・林業白書』(2025年)が、「かつて、多くの女性林業従事者が造林や保育作業を担ってきた」(115ページ)と書いている通りです。
また、植林は苗木がなければ始まりません。林業用の苗木は、数年間 畑やビニールハウスで育てて、山へ持っていきます。こうした苗木生産の現場は、多くの女性従事者によって支えられています(図中の「その他の林業従事者」に含まれます)。
伐採する現場でも、女性が2~3%を占めます。ある調査で、女性の伐木従事者に「働く上で困ることはありますか」と質問したことがあります。『白書』は、更衣室やトイレの環境改善の必要性を挙げていますが(もちろん必要です)、その人の答えは「安全用具のサイズが合わないこと」でした。チェーンソーを使う現場では、防護ズボンなど様々な安全用具を着用することが義務づけられています。その既製品のサイズが、体の小さい人には合いにくいという話でした。小さいサイズの製品があっても、標準サイズより製品の種類が少なくなるのなら、選択の幅は狭くなります。
男性の身体を「標準」として製品やシステムが設計されていることで、女性が安全面でリスクを負っているということは、他の分野ではすでに指摘されています。林業でも、女性と男性どちらもが、安全に作業できる状態を目指す必要があります。
(図出典:国勢調査。1980年以前と85年以後とでは分類が変更されているので、厳密には接続しない。)
2025年7月22日
日本列島に森林資源はどのくらいあるのでしょうか。今回は、これを考えてみましょう。
日本列島の島々には、あわせて約2,500万haの森林があります。何千万haという広さは実感できないので、1人あたりで計算してみると 0.2ha ≒ 45m×45m です。
ここから、木材を得ることを考えてみましょう。森林のうち、自然に生えてきた森林(天然林)は除いて、人が植えた森林(人工林)だけを使うことにします。人工林の面積は約1,000万ha、1人あたりなら 0.08ha ≒ 29m×29m です。
この29m四方の森林に、約30m
3 の木々が生えています(林業では、木の大きさを幹の体積で表します。人工林では平均350m
3/ha)。一方、日本列島に住む人たちは1年間に1人あたり 約0.6m
3 の木材を消費しています。
つまり、29m×29m の森林から、50年分の木材が得られる計算です。森林は再生する資源ですが、再び木材を得るには植林後40~50年はかかります。だいたい同じくらいですね。持続可能なかたちで木材を自給していくのなら、木を伐ったあとに、確実に植林して育てていく必要があるということです。

なお実は、国内の人工林のすべてが木材生産に適するわけではありません。道路から遠いなどの理由で、経済的には適さない人工林も多いのです。木材生産に適していて、今後も木材生産林として維持すべき森林は、1,000万haの人工林のうち660万haだとされています(森林・林業基本計画)。
660万haは、1人あたり 0.05ha ≒ 24m×24m で、ここから得られる木材の量は 約19m
3、32年分です。思ったより少ないですね。大切に使っていくべきだと思います。
いま政府・林野庁は、30年間で木を育てて利用することを推進しています(「新しい林業」)。九州など特に温暖多雨な地域以外では、30年間では ちょっと短い気もするのですけれども、持続可能なかたちで木材を自給することを目指すときに、一つの考え方といえるでしょう。
今回の試算は大ざっぱなものですが、「森林資源はたくさんあるのか、少ないのか」を漠然とした印象で語るよりは、一歩すすんで考えることができます。林野庁の「
森林・林業統計要覧」には、様々な数字が公開されているので、みなさんも試算に挑戦してみましょう。
2025年7月19日
信州大学農学部オープンキャンパスに足を運んでいただき、ありがとうございます。お気をつけてお帰りください。
これから夏休みにかけて、このページで、森林政策学についてのあれこれを書いていこうと思いますので、引き続きぜひご覧下さい。
2025年7月4日
【紹介・続き】『
自然力を活かす森づくり 森林機能を高める森づくり』(長野県林業コンサルタント協会・風來舎、2025)は、専門的な部分も多いのですが、言いたいことは「森づくりの方法が、皆伐→一斉造林 だけというのはおかしい」というものです。
森づくりは何のためにするのか。木材とか斜面崩壊を防ぐとかの、何か(もの や機能)がほしいからです。では森づくりの要とは何か。ふつうなら「木を大切に育てる」とか「多様な樹種になるようにする」とかの、木や森の姿に注目するのですが、この本では「土壌作り」であると喝破します。ここが本書のユニークな点だと思います。
土壌作りを中心に考えると、皆伐というのは、地表が乾燥して土壌の団粒構造が壊れ、地面が降雨を吸収しなくなるので、リスクが高い。土壌を大切にする観点からは、「伐採するために森林を更新する(生やし、育てる)」のではなく、「更新するために伐採する」、その際に木材を利用するのだという更新本位の林業がよいということになります。
こうした生産方法を「漸伐(ぜんばつ)」「択伐」と呼びます。これらは一般的には、「皆伐より作業が面倒くさい」「生産性が低い」と言われてきました。ただ、皆伐は山にとってリスクもあるし、苗木代や草刈りにコストがかかる。温暖湿潤で雑草が生えやすく、豪雨も増えている日本では、トータルとして見たら皆伐は本当に経済的なのか? 森づくりには皆伐→一斉造林 以外の方法もあってしかるべきだし、そのための技術開発はもっとやるべきだ。この本はそう主張します。
もう一つの柱は、森林を更新するときに、周りの木から飛んでくる種子を使う「天然更新」を使うということです。これはうまくいけば成果も大きいのですが、失敗することも多い。この本では、大切なのは種子が飛んでくる時期に合わせた作業が重要だということが分かります。
2025年7月2日
「森林経営・経済学」の講義で、林野庁のかたに新しい『森林・林業白書』の内容を説明いただきました。どの部分がとくに新しくなったのか、などよく分かりました。
2025年7月1日
【紹介】『木材情報』6月号(409号)の、井堀秀雄ほか「選挙ポスター掲示板への国産材合板利用の拡大」によれば、国政選挙1回につき28万枚(5,600m
3)以上の合板需要が生じる計算になるそうです。これを国産材合板にしていくことは可能だという内容でした。面白い着眼点です。
2025年6月30日
【紹介】植木達人編『
自然力を活かす森づくり 森林機能を高める森づくり』(長野県林業コンサルタント協会・風來舎、2025)という本が出ました。植木さんは信州大学名誉教授で、一昨年度まで森林施業・経営学研究室を主宰していました。いまの日本林業の多くは、皆伐‐一斉造林(皆伐作業法)ですが、ほんらいは「適地適作業法」であるべきだと指摘する本のようです(これから読みます)。
2025年6月23日
ゼミで、先日公開された最新版『
森林・林業白書』を読んでいます。今年の『白書』は、「生物多様性を高める林業経営と木材利用」を特集としています。生物多様性と林業との関係は、これまでの『白書』でも扱われてきていますが、ここまで大きく取り扱ったのは初めてではないかと思います。毎年ゼミ等で読んでいますが、毎年、新しい発見があります。森林に関わる学部1~2年生なら、少なくとも『白書』のグラフや表を眺めている程度は常識として知っているべきでしょう。
2025年6月22日
講義「信州の防災学」の一環で、能登半島に行き、地震直後に人々がどう行動したのかをうかがいました。お話からは、ふだんからの地域のつながりや災害に対する訓練が、災害時にも意味をもったことが分かります。森林・林業を研究する理由の一つは、自然災害の軽減です。勉強になりました。
2025年5月31日
箕輪町で開催された「気候町民会議 in みのわ」の1日目を傍聴しました。くじで選ばれた住民が、気候変動について学び、我がまち・自分たちではどんな対策ができるのかアイデアを出す会議です。これまで首都圏を中心に25自治体で開催されてきましたが、長野県内では2か所目(松本市の次)、町としては全国で2か所目(神奈川県 二宮町の次)だということで、身近で新しい取り組みが見聞きできるのは素晴らしいことです。
こういう会議で見知らぬ人がのグループディスカッションをすると、話が盛り上がるまでに時間がかかるものですが、箕輪町は最初から予定していたディスカッション時間を過ぎるほどでした。
気候変動(温暖化)は、多くの人が知っているだけでなく、夏の暑さなどで実感できるまでになっています。また、省エネなどによる温室効果ガス排出削減や、再生可能エネルギーへの転換が必要なことも知られています。しかし、それを自分ごととして取り組むという段階では、進みづらいところがあります。気候町民会議で、そこがどう議論されていくか、2日目・3日目も傍聴して学びたいと思います。
箕輪町は、町の建物や駐車場の屋根に太陽光パネルをたくさん置いていて、役場で消費する電力の実に43%をこれで自給しています。
2025年5月30日
ふだんは演習林(手良沢山演習林)で植林や間伐をしている森林生産実践演習で、今日は、原木市場の伊那木材センターと、薪ストーブ販売業者のDLDに見学に行きました。演習ではそのあと構内に戻って、チェンソーの仕組みや動作を学習します。
演習のあと、農学部生協前の広場で2年次生歓迎会をおこないました。森林・環境共生学コースの各研究室が、それぞれ食べるものを出す催しで、毎年恒例です。
2025年5月27日
【紹介】月刊誌『林業経済』5月号(78巻2号)の、論文「地域イノベーションの成功・失敗要因に関する考察」(本田知之ほか)は、林業での新価値創造型のイノベーションは、それを試みる人の林業キャリアの長短が成否を第一に左右する要因であると主張しています。新技術の投入だけでは難しいということです。
挙げられている調査事例がイノベーションかどうかは、少し疑問もあるのですが、生産が質的に新しいものになるのは、生産手段の発達だけで自動的に果たされることはなく、人の側の経験や技術・技能の量的な蓄積が必要である、という点はなるほどそうだろうと思います。
2025年5月25日
【紹介】『
雨を操る:森林保護思想の変遷から読み解く気候安定化への道』(ブレット・M・ベネット、グレゴリー・A・バートン、築地書館、2025)。19世紀には、「森林が失われると、そこの土地に雨が降らなくなる」と考えられていました。気象学や水文学(すいもんがく)の進展によって、それはひとまず否定されるが、現在では「森林が失われると、ほかの土地に雨が降らなくなる」ことが明らかになってきている。そこには、南アジアや南アメリカでの研究が反映されている。この歴史を書いた本です。
ただし、それを読者にスムーズに理解してもらうためには、冒頭で、森林と地下・大気との間の水のやりとりにはどのような経路があるのかを解説する必要があると思います。樹木が吸い上げた水を蒸散するのと、地面から蒸発するのと(林床面蒸発)、降雨が樹冠にキャッチされてそのまま蒸発するのと(遮断蒸発)を合わせて「蒸発散」なのだということが解説されていないと、とくに森林と川の流量の話など、何が議論されてきたのかが分かりにくくなるのではないでしょうか。また、日本語では「林業家」と「森林官」のイメージが異なるので、前者ではなく後者で表記したほうが、植民地支配の中で forester が果たした役割が明瞭になると思います(もちろん、あえて「林業家」と訳されているのだと思いますが、その意図がよく分かりませんでした)。
火星に「運河」を見たローウェルは、木曽の御嶽山に来たことがあるのですが、その2つの関係を指摘した部分(126ページ)と、ホートンについて述べた部分(174ページ)は、大いに参考になりました。邦題の「雨を操る」は、ジオ・エンジニアリングを想起させます。著者の意図には反するかもしれませんが、『気候リヴァイアサン』(ジョエル・ウェインライト、ジェフ・マン、堀之内出版、2024)の議論とつなげて読むと、スリリングだなと思います。
2025年5月22日
南箕輪村の都市計画マスタープランの見直しに関するワークショップに参加しました。ハザードマップや、土地利用の種類を色分けした地図を前に、村のすぐれたところと、改善したほうがよいところを参加者で話し合いました。同じ地域内でも、人によって見ているところが微妙に違って面白いです。
ただ、今回でた意見は「成人男性のうち自動車を運転する人」の視点に偏ってしまったと思います。生活圏は、子どもなど自動車に乗れ(ら)ない人では大きく違うし、夜道の不安は女性ではまた異なるものでしょう(それ自体、問題ですが)。マスタープランに、多様な住民の視点が反映されることが必要だと思いました。
2025年5月21日
信州大学農学部の「公開森林実習」のポスターを、全国の大学にお送りしました。これは、他大学の2年生以上の学生を対象にして開催しているものです。
詳しくはこちらをご覧下さい。
このポスター、毎年 当研究室の三木がイラストを描いていますが、いつも仕上がりが不安です。さきほども、チェンソーのスパイクバンパーが逆というミスを発見しました……。生成AIでないことは、右側の人物のイヤリングの柄を見てもらえれば分かると思います。
2025年5月19日
3年生のゼミでは、「地域の新聞から、森林・林業に関係のある記事を選び、読んで、そこから研究の視点を考える」ということをやっています。
今週 扱ったのは、「豊かな自然「十二天の森」活用探る」(『長野日報 上伊那版』5月10日付)。駒ヶ根市の公民館が、市有林「十二天の森」での学習会を開催し、それを通じて活用方法を考えようとしている事例です。この広さの平地林があれば何ができるか、なぜ森林の利活用についての企画を市役所の林務担当ではなくて社会教育課が担当しているのか、などを議論しました。
2025年5月14日
伊那谷フォレストカレッジ協議会が、当初計画していた5年間の実施期間を終えて、さいごの総会をおこないました。ひとまず一区切りです。伊那谷フォレストカレッジは、5年間で約1000人の申し込み者を得て、その中の約200人に受講者してもらいました。このかんに伊那に移住した人は約40人(受講者と、その家族を含む)です。
当研究室の三木は、協議会の委員として関わりました。
この記事にもあるように、協議会が立ち上がったときには、何を目指しているのか理解できなかった、というのが率直なところです(記事中の「何がやりたいのかわからない」というのは私の発言です)。いくらか林業の研究をしてきて、何か分かったような気分になっていたのですが、それが理解を妨げていたのです。「林業」を固定的なものとしてとらえていたのでしょう。
伊那谷フォレストカレッジを通じて、いちばん学んだのは私だろうと思います。林業についての視野が広がり、それを研究にも活かすことができました。実地での取り組みから得るものは大きい。学生に「地域の活動に参加して課題を発見しよう」と言うのは、そういうことからです。
2025年4月28日
「
松本市 森林長期ビジョン GREEN FOREST GREEN LIFE 松本でわたしたちが共につくる森林との未来」が公表されました。これを作成した松本市森林再生市民会議運営委員会は、当研究室の三木が3年間、委員長を務めました。
「本編」に加え、本編の元になったデータも「資料編」にまとめられています。意外なデータもあると思います。これからの森林づくりや、森林のあるまちづくりに活用してください。本編冒頭のメッセージに書いたことを再掲しておきます。
「とはいえ、ここに書いただけでは現実にはなりません。わたしたち市民が、松本市(市役所)や森林・林業の事業者と協力して、松本らしい、森林との関係をつくっていくのはこれからです。令和7年度から新しい取組みが始まります。これにぜひ参加してください。50年後の松本市の森林は、あなたから始まります。」
2025年4月23日
【紹介】『
sees magazine』創刊号は、信州大学農学部の隣にある、伊那市の産官学連携拠点施設「inadani sees」が発行した書籍です。創刊号のテーマは「特集 Rescale ちょうどいい規模、新しいものさし」で、地域や生活、農林水産業のような急に変化できないものと、ビジネスとのちょうどよい規模(スケール)について、様々な実践者にインタビューして考えています。答えは容易には出ないけれども、無限に大きくなろうとする資本主義社会の中で、スケールについて考えることは大切です。考えてみると難しいことを扱っていますが、インタビューが中心なので分かりやすく読めます。
「マガジン」という題名ですが、最初から順番に読んでいったほうが全体が理解しやすいでしょう。
2025年4月14日
3年生むけのゼミが始まりました。最初の数回は、様々な研究室のゼミを見られるように変則的な日程になっています。森林政策学研究室は、4月14日、22日、30日と、5月2日に開催します。
2025年4月9日
「原生林を燃やす日本のバイオマス発電」(
地球・人間環境フォーラム)をオンラインで傍聴しました。
2025年4月8日
1月24日に実施された「若者議会2024!」の記録(録画)が、
南箕輪村議会のウェブページに掲載されています。
2025年4月7日
【紹介】『
自然によりそう地域づくり:自然資本の保全・活用のための協働のプロセスとデザイン』(鎌田磨人ほか編、共立出版、2025)は、研究者など地域外部の専門家が、景観や生物多様性といった、その土地の自然資本を守ろうとするとき、どうすれば地域の人とうまく継続的に取り組めるのかを分析し、手法を示しています。
一般に、成功事例をみるときには、超人的な能力やネットワーク力をもったキーパーソンに注目しがちです。しかし、それだと「うちの地域では(そういう人はいないから)無理だ」となってしまいます。この本では、景観生態学と社会学の視点から、成功事例には成功するだけの「パターン・ランゲージ」があったのだと分析しています。芸術や武道の「かた(型)」のようなものでしょうか。「違いの相互理解:重なりと違いを知ることで、協働しやすくなる」など36のパターン・ランゲージが巻末にまとめられていて、ここだけ読んでもヒントになります。
こうしたまとめ方は、先ごろ出た長野県ゼロカーボン社会共創プラットフォーム「くらしふと信州」のパンフレット『
信州で実現する共創型の脱炭素まちづくり:5つのキーアクション』にも通ずる部分があるなと感じました。
2025年4月4日
山岳圏森林・環境共生学コース、地域協創特別コースに入学したみなさん、おめでとうございます! これから一緒に学んでいきましょう。楽しみにしています。
2025年3月31日
『信濃毎日新聞』の記事「森林の将来像まとめたビジョンに理解を 建築家や林業関係者の団体、松本市でトークイベント」に、当研究室の三木のコメントが掲載されました。
2025年3月31日
【紹介】月刊誌『木材情報』3月号(406号)の赤堀楠雄「多様な広葉樹を活かし、次世代の山づくりに貢献」は、新たに開業した北海道の製材所のルポタージュです。地域の小規模製材所を、新しく始めるというのは珍しい。明瞭な姿勢があって興味深い事例です。広葉樹は最近注目が集まっていて、月刊誌『林業経済』3月号(77巻12号)は、1冊まるまる、シンポジウム「広葉樹 新時代」の記録です。こちらも読みごたえが大きい。
2025年3月23日
信州大学農学部の卒業式でした。学部・大学院を卒業したみなさん、おめでとうございます。森林政策学研究室からも、4人が卒業しました。専攻研究(卒業論文)にあたっては、地域のみなさんにご協力、ご助言いただきました。学生の学習へのご協力、ありがとうございました。
2025年3月21日
今日は「国際森林デー」(
International Day of Forests)です。
後期日程で、山岳圏森林・環境共生学コースに合格したみなさん、おめでとうございます! 4月に会えるのを楽しみにしています。いろいろな経緯でコースに入ることになった人もいると思います。しかし飽きさせませんから、そのつもりで期待していてください。
2025年3月20日
南箕輪村の村政150周年記念植樹祭に参加しました。村有林「大芝高原みんなの森」に、150周年にちなんで150本の木々を村民が植えるという催しです。松枯れ対策など課題はありますが、ますます地域住民が親しむ森林になるといいなと思います。そういう森林を、一緒につくっていきましょう。
2025年3月18日
inadani sees(伊那市産学官連携拠点施設)で開催された「伊那谷の風景シンポジウム 千年つづく風景「私が好きな伊那谷の風景」」(
信州大学社会基盤研究所、
三風の会、三風デザイン)に参加しました。信州大学農学部の周辺は、とてもよい風景があります。それを住んでいる人々じしんが感じているという点が大切です。伊那谷「らしい」風景を選ぶと、地形などの眺めの写真が選ばれるが、伊那谷の「好きな」風景を選ぶと、人が映り込んだ写真が選ばれるのは面白い傾向だと思いました。伊那谷のよい風景の多くは、農林業によって形づくられたものなので、風景の保全のためには農家が経営を続けられる社会環境を作る必要があります。
inadani seesには先週土曜日に
首相も来たそうです。人気施設ですね。
2025年3月17日
【紹介】『自伐型林業:小さな林業の今とこれから』(
自伐型林業推進協議会編、世界書院、2025年)。「間伐を繰り返し、森林を育て、長期的な経営の安定を目指」す「森林の経営や管理、施業を自ら〔……〕が行う、自立・自営型」の「自伐型林業」について、その言葉の発祥から現在の展開までを、当事者が分かりやすくまとめています。経営の基盤となる森林を獲得することや、目標に至るまで長期を要することなど、乗り越えるべき課題も明確にされた本です。
なお、オーストリアの虫害について、それを皆伐による土壌乾燥と関連づけているところには、読む際に注意が必要だと思います。
2025年3月13日
【紹介】『
里山と地域社会の環境史:多摩ニュータウンにおける社会変動と〈根ざしなおし〉』(岡田航、新曜社、2025年)。「里山や農地には、これこれの貴重な機能があるのだから保全せねばならない」というふうに言われることがありますが、この本からは、その土地で生活を営まない研究者が保全を考えることの問題点を知ることができます。そこで生活を営む人々が、社会が変化するなかでも、地域の自然(あるいは地域の人どうし)とどのような関係をつくろうとしているのか。それを捉える必要があるのです。
2025年3月12日
山岳圏森林・環境共生学コースの後期日程の試験を受験したみなさん、お疲れさまでした。家まで気をつけてお戻りください。
2025年3月11日
「森林資源をうまく利用して保全するための途上国での様々な取り組み」(
国際緑化推進センター)をオンラインで傍聴しました。発展途上国で森林減少を防ぐためには、その地域の住民の生計・生活の向上と、森林保全とを組み合わせる仕組みが必要だとされます。その支援のためには、地域コミュニティの生活や農林業のあり方(中心的村落や有力者やだけでなく)、ニーズを調査し、それに合った形で進めることが重要だという指摘でした。日本国内では、森林減少は生じていないので事情は異なりますが、森林を活用して生計・生活を向上させるという点では共通するところがあると思います。
2025年3月11日
東日本大震災によって、私たちは、人間がコントロールしきれない自然現象があるという当然のことを認識するとともに、エネルギー多投型の社会は、どこかの地域にリスクを押しつけることで成立していること、それが人々には見えないようにされていたり、見えても目をそらして生活していること、を知りました。これに対して、山岳圏森林・環境共生学、あるいは大学の地域協創の取り組みが、いったいどういう態度をとるのか。3月11日は、それを考え直す日だと思います。
2025年3月10日
【紹介】月刊誌『山林』2月号(1690号)の「日本型フォレスターができるまで」(田村典江)は、「森林・林業再生プラン」(2009年)以後、紆余曲折を経て「日本型フォレスター」が森林総合監理士という資格になっていった経緯をふり返っています。「森林認証制度が林業労働者の労働安全に与える影響の研究」(滝沢裕子)は、森林認証制度の一つであるFSCの認証を受けたことによって、認証に必要とされるモニタリングなどが労働安全にも作用することを示しています。「きのこの食文化と森林」(齋藤暖生)は、燃料等での里山利用が活発だった地域では、腐生性のきのこの食文化があまりみられないことなど、食文化との関係性を説いています。「近年の事業動向からみる森林組合が果たしている役割と課題」(笹田敬太郎)は、日本の森林管理・林業の大きな部分を担っている森林組合が発展していることに着目しつつ、組合員や行政との関係性が薄れていることを課題として挙げています。
2025年3月9日
登戸研究所平和資料館(駒ヶ根市)開館記念の公開学習会「陸軍登戸研究所の疎開の実態に迫る!:新たな資料、新たな証言から見えてくるものは何か」(登戸研究所調査研究会)に参加しました。
長野県のいくつかの市町村には、アジア太平洋戦争の末期に、日本陸軍の秘密機関である登戸研究所(第九陸軍技術研究所)が疎開していました。駒ヶ根市の中沢地区では、動員された子どもたちが箱状の「缶詰爆弾」を作っていて、その記憶が地区には残っています。戦後80年をむかえ戦争体験のある人が減る中で、それらの記憶をどのように活かし、今後の世代の平和の実現につなげていくかが課題になっていると思います。
2025年3月8日
「「開かれた里山」シンポジウム」(長野県林務部信州の木活用課林業経営支援係)に参加しました。長野県内で、人々を惹きつける里山づくりを実践している団体が、活動の成功のポイントや、乗り越えねばならない課題を発表しました。
①長野県内でも、地域ごとにニーズは異なり、それに合わせて取り組みがされていて、「里山」の内容は多様であること、②また、地域のニーズは「積雪時の倒木を減らしたい」とか「地域の史跡・名所を巡れるようにしたい」「住民に健康になってほしい」などであって、里山の整備は手段であること、を学びました。
2025年3月7日
林業経済学会と
環境社会学会の連携企画「森林空間の訪問利用と地域社会」をオンラインで傍聴しました。森林は、木材やその他の林産物(特用林産物)の生産のほかにも、観光・レクレーション、森林サービス産業にも利用されていて、これには期待もあるし、過去の失敗の歴史もあります。こうした非物質生産的な利用が、地域社会にどのような影響を与えるか、よりよい関係のためには何が必要か、学ぶ機会になりました。
2025年3月6日
前期日程で、山岳圏森林・環境共生学コース、地域協創特別コースに合格したみなさん、おめでとうございます! 4月に会えるのを楽しみにしています。
2025年3月3日
【紹介】月刊誌『林業経済』2月号(77巻11号)の論文「近世前期における幕府の材木需要」(石畑匡基)は、江戸の建設ラッシュと大火によって発生した巨大な木材需要に対し、優良な木材がとれる森林資源が枯渇した地方(高知)と幕府がどのように対応したかを明らかにしています。要求された規格の木材が納入できないときに、寸法の足らない木材を多めに納めて帳尻を合わせる「木廻し」という方法は面白いですね(それで問題が解決したのかが不思議ですが)。
2025年3月2日
inadani sees(伊那市産学官連携拠点施設)で開催された「伊那の森連携ミーティング」(
ラーチアンドパイン)の「持続可能な地域づくりと森林」に参加しました。地域の森林を通じて、移住・定住する人を増やすことができる(もちろん簡単ではありませんが)という視点は、共通するものがあって心強かったです。
2025年2月28日
「
太陽光パネルの廃棄・リサイクルのこれから:重要性・課題解決への動きを学ぶ」(
自然エネルギー100%プラットフォーム)をオンラインで傍聴しました。森林との関係では、どういう場合に太陽光発電が地域トラブルになるのか、またそれを防ぐにはどのような手立てがあるのかという研究が参考になりました。
2025年2月25日
山岳圏森林・環境共生学コース、地域協創特別コースの前期日程の試験を受験したみなさん、お疲れさまでした。寒かったでしょう。このあたりでは、今がいちばん寒い時期です。まずは家まで気をつけて。
2025年2月24日
宮崎大学 森林経済学研究室と、
鹿児島大学 森林政策学研究室の、合同論文発表会をオンラインで傍聴しました。両研究室は、年に数回 合同ゼミを開催して交流をはかっています。今回はその成果(卒論・修論)の発表会でした。私たちの研究室と同じ分野ですが、調査している場所が異なるので、また違った視点がありました。信州で似たテーマで調査するなら、どういうものになるか、などを考えながら聞かせてもらいました。
他大学の研究室との合同ゼミは、うらやましいですね。やってみたいことの一つです。
2025年2月23日
「野生動物と社会」学会 青年部会が開催した学習会「野生動物管理における社会科学研究を考える:現場とアカデミアをつなぐには」をオンラインで傍聴しました。野生動物がどう分布しているか、なにを食べているか、などは自然科学の研究ですが、たとえば“野生鳥獣害対策を地域で継続しておこなうには何が必要か”などは社会科学の研究が必要です。どういう方法や理論があるかなど、少し分野は異なりますが、参考になりました。
2025年2月20日
「“保持林業”って何だろう?:人工林の生物多様性を高める方法を探る」(
森づくりフォーラム)をオンラインで傍聴しました。生物多様性の保全のために、たとえば針葉樹人工林の中に生えてくる広葉樹等を、皆伐のときに1haに10本ほど残しておくという方法で、木材生産(経済行為)と両立することを目指したものです。この「保持林業」と、保護区とを組み合わせて保全していくという話でした。
保持林業については
書籍も出ていますし、『
人工林の多様性を高める森づくり事例ガイド』というガイドブックも作成されているそうです。
2025年2月20日
「もりもり上伊那 山の感謝祭」(上伊那山林協会、長野県上伊那地域振興局ほか)に参加しました。地域林業関係功労者が表彰される会なのですが、初めて知る活動も多く、勉強になります(地域を熟知できていないことを反省します)。
2025年2月19日
「拡大するナラ枯れへの取り組みとこれからの広葉樹林管理」(森林総合研究所)をオンラインで傍聴しました。ナラ枯れ(ナラ・カシ類萎凋病)の拡大を予測し、適切な対策時期に効果的な対策をとるための様々な取り組みが報告されました。
ナラ枯れは、信州でもよく話題にのぼります。住宅地・市街地や道路や線路周辺では安全確保のためにも対策をとる必要がありますが、人員も予算も限りがあるので、こうした効果的な対策の意義は高いと感じます。
2025年2月18日
「南信州 元気な森フェスタ」(下伊那山林協会・長野県南信州地域振興局)で、三木が講演「森林を地域の人口維持・増加に活用する」をおこないました。参加いただいたみなさま、ありがとうございます。
2025年2月14日
【紹介】月刊誌『山林』2月号(1689号)の「特定非営利法人に施業を委托する森林所有者の実態」(平山智貴ほか)は、NPO法人が森林所有者から森林の管理や経営を受託している事例を紹介しています。ふつうは森林組合という森林所有者の協同組合が受託することが多いのですが、NPO法人というのは珍しいです。
2025年2月13日
林野庁 中部森林管理局(長野市)で開催された「中部森林・林業交流発表会」に参加しました。国有林の事業を通じて、様々な工夫や技術の応用が試みられています。中部地方のあちこちから広く事例が集まってくる発表会なので、とても参考になります。
2025年2月12日
卒業論文(2日目)の発表会が開催されました。森林政策学研究室からは4人が報告しました(題名は下記)。研究室の3年生も、タイムキーパーやマイク係をしました。
修士論文・卒業論文の発表会は、4年生以外にも重要な機会です。学部3年生にとっては、1年後のイメージをつくるために必須ですし、学部2年生にとっては研究室選びの際の重要なヒントになります。
2025年2月10日
修士論文と卒業論文(1日目)の発表会が開催されました(大学院の環境共生学分野とランドスケープ・プランニング・プログラム、学部の森林・環境共生学コース)。さすが修士課程の学生は、卒論発表や学会発表、審査会と経験を積んでいるだけあって、内容・発表方法ともに洗練されています。
今日は、小さいところでは樹木の遺伝子や化学成分の解明から、大きいところでは洪水時の流木を防ぐ仕掛けや、地形や伝統を考慮した地域再開発計画など、たくさんの発表がおこなわれました。森林・環境共生学分野の幅広さを改めて感じます。卒業論文発表会の2日目は12日です。
2025年2月7日
【紹介】信州大学農学部がある長野県上伊那地方の、森林を使った様々な産業(林業や製材・建築業、木工業、薪、食品・雑貨など)については、情報サイト「
きとくらす上伊那」がとても参考になります(作成は上伊那地域材利活用促進協議会事務局)。業者へのインタビューも載っていて、上伊那という地域の雰囲気がよくわかるようになっています。まだできたばかりのようですが、今後も記事が増えていくでしょう。
2025年2月6日
日本不動産学会の学会誌『日本不動産学会誌』38巻3号の特集「不動産相続登記の義務化をめぐる成果と次の課題」に、三木敦朗・杉本由起・杉本健輔「相続登記だけでは解決しない森林管理問題」が掲載されました。地元のコンサルタントとの共同執筆です。相続登記の義務化で、森林の「所有者」は明確になるかもしれないけれども、それだけでは森林管理の水準が上がるわけではない(下がることもあるかもしれない)という指摘をしました。
2025年2月3日
【紹介】月刊誌『木材情報』1月号(404号)の「国産材製品の輸出拡大に向けた現状と課題を考える」は、ここ10年間で急速に拡大した、日本から外国への木材輸出について、製材会社などが経験を語ったシンポジウム記録です。日本国内むけとは異なる寸法の木材が必要になるだけでなく、海外での用途によっては鋸(のこ)で挽いた跡が残るものが好まれるなど、建築や法律、文化が異なるところへの木材輸出には独特の難しさや工夫があるようです。
2025年2月2日
先週に続いて、「災害時外国人支援サポーター養成講座」(南箕輪村・箕輪町・辰野町)の実践編を受講しました。今回は、「避難してきた日本語を母語としない人たちに、基本的情報やニーズを訊くにはどうしたらよいか」を学びました。通訳ボランティアや、翻訳アプリを通して、避難者役の人に質問してみるという実技もありました。
人々に森林・林業のことを訊ねる(調査する)のには慣れていても、災害時には別の訓練が必要だと痛感しました。避難時に配慮すべき持病があるかを質問しなければ、と考えたところまではよかったのですが、いつも利用している病院があるかを訊き忘れたり。座学に加えて、実習が必要なわけです。
2025年1月31日
今回の「伊那の森連携ミーティング」(
ラーチアンドパインが実施)は、伊那の「野じ庵」の狩猟の話題でした。モンゴルの人々の、家畜で「使わないのは鳴き声だけ」という姿勢に学びながら、食べる肉を狩猟で自給して、革製品を制作しているという話です。
2025年1月28日
【紹介】月刊誌『林業経済』1月号(77巻10号)の、論文「人工林主伐後の再造林実施に影響を与える要因の検討」(藤掛一郎ほか)は、伐採時に提出する伐採届をもとにアンケートを実施し、再造林する所有者と、しない所有者がいるのはなぜか、ということを明らかにしています。所有面積・伐採面積が小さいと再造林しない傾向があることや、伐採業者に再造林を勧められると再造林率が高まること(しかし、業者から再造林についての話を受けなかった所有者も多くいること)、伐採した森林の価格が適当であったかが分からない所有者が6割いることなど、初めて見るデータでした。
2025年1月26日
「災害時外国人支援サポーター養成講座」(南箕輪村・箕輪町・辰野町)の入門編を受講しました。
私たちが森林のことを研究する目的の一つは、災害を減らすことです。山地災害は、森林の状態を改善するとともに、人々が危ないときに適切に避難することで防げます。どちらが欠けても、研究の目的は達成できません。
地域には、日本語を母語としない人たちが住んでいるので、災害が発生したり、リスクが高まっているときには、わかりやすい表現で伝える必要があります。そのために、どういうことに気をつければよいかを学びました。
2025年1月24日
研究室の3年生が、
南箕輪村議会が開催した「若者議会」(模擬議会)で、「議員」として村長に質問をおこないました。
信州大芝高原の村有林に、学生が関わる機会がないが、この森林を高校や大学が連携して学習する場(プラットフォーム)として活用してはどうか。南箕輪村は、村内に保育園から高校・大学まである珍しい村で、信州大芝高原の広大な平地林も珍しい。これを組み合わせて村独自の取り組みをしてはどうか、という提案です。
そのほか、自動車の使用による温室効果ガス排出を、村としてどのように減らそうと考えているかなどについても質問しました。
質問をおこなうにあたっては、研究室のゼミで「何を質問すべきか」「どのように質問すれば、具体的な答弁が得られるか」「質問を通じて、情報を引き出すにはどうしたらよいか」などを議論しました。
「若者議会」の様子は、『長野日報』の記事になっています(
「20~30代の視点で質問 南箕輪村議会が若者議会」)。
2025年1月24日
昨日に続いて、「省力低コスト造林技術普及シンポジウム」(日本森林技術協会)をオンラインで傍聴しました。パネルディスカッションには、長野県からは
南佐久北部森林組合の報告がありました。植林の前には、伐採時に散らばった枝などを片づける作業(地拵え)が必要になりますが、人力でおこなうと とても労力がかかるので、機械でおこなって省力化し、伐採後かならず再造林している事例です(高原野菜の畑の近くは除いて)。
シンポジウムの全体としては、成長の早い苗木を用いて、植林後の草刈り(下刈り)回数を減らす省力化は必要だけれども、それができる場所を選ぶことが大切だという内容でした。植林木以外の草木(競合植生)は、下刈りの回数や、その土地がかつて何に使われていたかなどによっても異なってくるので、観察が必須なようです。
2025年1月23日
「低コスト再造林プロジェクト最終報告会」(全国森林組合連合会)をオンラインで傍聴しました。国産材を安定的に生産していくためには、条件のよいところでは伐採後に植林(再造林)していく必要がありますが、従来は労力やコストがたくさんかかっていました。これを技術的に圧縮して、着実に再造林していくことが課題になっています。長野県からは
根羽村森林組合の報告がありました。成長の早い品種のスギに加えて、早生種のコウヨウザンを植えた事例です。信州のような冷涼で広葉樹が落葉し、シカの生息密度が高い地域でのコウヨウザンの造林例として貴重です。
報告会の全体としては、間伐を繰り返すと再造林がやりにくくなる、という指摘が興味深いものでした。間伐すれば、森林の中(林床)が明るくなって様々な草や低木が生えてくる。これが生物多様性や山地災害防止の点から望ましいとされてきたわけですが、そうすると伐採後にも様々な植物が生えてくることになり、再造林にとっては草刈り(下刈り)などの手間が増える。低コスト再造林したいのなら、伐採の前には林床が暗くて他の草木はない状態にしたほうがいい、ということになりそうです。でも、それはこれまでの森林づくりの方向性とは異なるものになります。それをどう考えるか。面白い点です。
2025年1月22日
農学部構内で、能登半島の大地震・豪雨による森林への影響についての報告を聞きました。地震による山地崩壊には異なる型があって、その後の森林回復の経路にも違いが予想される(埋土種子による天然更新が期待できるところと、そうでないところがある)というのは、森林政策のうえでも重要な指摘だと思います。
2025年1月17日
inadani sees(伊那市産学官連携拠点施設。農学部の隣)で開催された、「伊那の森連携ミーティング」に参加しました。地域の森林・木材関係者が意見交換をする場として、伊那市の事業の一つとして設けられています(
ラーチアンドパインが実施)。私たちも地域のリアルな課題を勉強する機会として大いに活用しています。
今回は、
島崎山林塾企業組合 と、
つなぐ里山 のかたが、事業体の立場から、林業の面白さや課題を語りました。林業についての自らの考えを語る若い人がいるのは、地域の財産です。
2025年1月17日
経済理論学会の学会誌『季刊 経済理論』61巻4号に、三木敦朗「書評 岩佐茂著『マルクスの生活者の思想とアソシエーション』」が掲載されました。
哲学の研究書を、森林・林業研究の視点から論評しました。
2025年1月16日
福島県双葉町の
東日本大震災・原子力災害伝承館で林野庁が展示「福島の森のことを知ろう~森林・林業・森のめぐみと復興~」をしているので見に行きました。
震災遺構・浪江町立請戸小学校や海岸林の造林地も見学しました。
国道6号線を通っていると見えにくいのですが、周囲には今でも帰還困難区域があって、ゲートで封鎖されています。その近傍では生活再建のための除染や工事がおこなわれています。現在のエネルギー構造に依存して生活する私たちが、必ず見ておかねばならない風景だと思います。
2025年1月13日
辰野町で開催された「たつの森の市」に参加しました。昨年つくられた「
未来につなぐ辰野町の森ビジョン」の内容をひろめ、それを実施していくためのイベントです。シンポジウムのほか、食べ物のブースなども出ていました。
森林経営管理法や森林環境譲与税の仕組みができたことで、市町村で「ビジョン」(名前はさまざま)を作る動きがあります。専門家に任せれば「ビジョン」は書けますが、重要なのはその後です。役場や事業者、地域住民・諸団体が、それを実施していかないと意味がありません。どうやって「ビジョン」の内容が当たり前になっていくようにするか。本番はこれからです。
→ 森林政策学研究室のページ