信州大学農学部 森林政策学研究室
研究室日誌(2026年)
書いている人:三木敦朗
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2026年2月28日
 inadani seesで開催された、「伊那木市(もくいち)」に参加しました。地域の木工業者が、伊那の地域産材の新しい使いみちにチャレンジするというもので、様々な試作品が展示されていました。500人以上の参加者があったそうです。
 多くの地域に広葉樹は生えていて、伐れば木材になる太さです。ただ、針葉樹の木材のように、まとまった量をどかんと生産できるわけではありません。そのため、木工や建築などにはあまり利用されていないのが現状です。そこに新しい道をひらこうという試みが、各地でおこなわれています。伊那での動きも、そうしたものの中の一つです。
2026年2月25日
 前期入試がおこなわれました。受験したみなさん、おつかれさまでした。
2026年2月23日
 inadani seesで開催された、「sees conference」に参加しました。今回は「土の経済学」がテーマです。事業や雇用など、地域内のつながりを土に見立てて、それを豊かにして継続的に経済活動をおこなっていくことについて、様々なことが話し合われました。
2026年2月19日
 上伊那山林協会などが主催の「もりもり上伊那 山の感謝祭」がありました。林業功労者の表彰式に続いて、講演会がおこなわれました。テーマはクマ(ツキノワグマ)対策です。
 箕輪町と軽井沢町でおこなわれている対策の報告を聞いて感じたのは、基本は重要だということです。
 箕輪町では、クマを立ち入らせない「排除地域」を決めて(ゾーニングといいます)、そこでは電柵をはったり、捕獲・駆除する。その周りの「緩衝地域」では、やぶの刈り払いなどをおこなって、クマが滞留しにくくする。それも、やぶを全面的に刈り払うことは現実的ではないので、子どもの通学路など対策が必須なところを抽出し、地区住民が刈り払う。町はその作業に補助金を支払う。また、クルミやクワ、サクラなど、クマを誘因しそうな木の実がどこに分布しているかを点検する。――こういう対策をしているということでした。
 軽井沢町でも、生ごみを食べにこないように、ごみ集積所をクマが開けられないようなものにしたり、犬による追い払いを継続的におこなっています。
 アッと驚くような対策ではありません。クマを誘引しない、隠れる場所を作らない、人間の存在を知らしめる、というのはよく言われることです。実施するためのマニュアルも、県が作っていて、箕輪町はそれを使っているということでした。まずは、そういう基本的な対策を地域内で確実におこなうことが必要だと思います。
 すぐれた森林の取り組みというのは、基本的なことにこそあるのかもしれません。そういう事例が身近にあるのは、私たちの学習・研究にとって幸運なことです。
2026年2月18日
 木質バイオマスの使い方は、発電だけではないことを多くの人に知ってもらいたいです。
 薪や木質チップ、木質ペレットなど、木からできた燃料のことを、「木質バイオマス燃料」と呼びます。チップは、木を砕いたり削ったりしたものです。ペレットは、木を粉にして、それを押し固めたものです(短い筒状をしています)。
 木質バイオマスの利用というと、発電ばかりが注目されます。たしかに電気は便利で何にでも使え、売ることもできる。近代的な明るい(電気だけに)イメージもあるからアピールもしやすいです。バイオマスで発電しています、と言うと少し進んだ感じがしますよね。
 でも、利用方法はそれだけではないのです。熱利用もできます。木を燃やして熱を得るのは、太古の昔からやってきたことなので、いまいち注目されませんが、実は効率がとてもよい利用方法です。
 木を燃やして電気だけを得る場合、効率は25%程度といわれます。熱を得る場合は60~85%です。ストーブやボイラーも技術が進んでいます。
 これまで化石燃料で作っていた熱を、木質バイオマスで置き換えることができれば、CO2の排出削減につながります。木を燃やしたぶんだけ着実に森林を植えて育てること、燃料を近距離から調達することが必須ですが(ただ伐って燃やすだけだと、排出源になってしまう)。
 だから「いま化石燃料で作っている熱」を探すことが大切です。その中で、木質バイオマスに合ったものを、置き換えていく。たとえば建物やビニールハウスの暖房、温泉や病院・介護施設のお風呂、給食センターなどお湯をたくさん使う施設などです。
 もちろん、なんでも木質バイオマスを使えばいいわけではありません。建物は、ちゃんと断熱して、日ざしで暖房が必要ないくらい暖かくしたほうがいいし、そういう建物なら、屋根の太陽光発電でエアコンを動かしたほうがいいかもしれません。お湯も、太陽熱温水器を使ったほうがよい場合もあります。
 発電だけではなく、熱利用もあるし、木質バイオマス利用以外の他の手段もある。様々な方法を駆使して、気候変動対策をしていけるとよいです。
2026年2月10日
 修士論文・卒業論文の発表会がありました(9~10日、環境共生学分野、森林・環境共生学コース)。
 森林政策学研究室からは、3件の卒論発表をおこないました。
2026年2月6日
 森林政策学で推理してみましょう。
 信州大学農学部のある南箕輪村には、きわめてめずらしい広大な平地林「大芝高原」があります。その中に、「大芝の湯」という温泉施設があります。このお風呂は今年5~11月に改修がおこなわれるのですが、その際に木質バイオマスボイラーが導入されることになりました。
 木質チップという、木を切手大くらいの大きさに砕いた(削った)ものが燃料です。大芝高原にはアカマツが生えているのですが、残念なことに松枯れしはじめています。そこでアカマツを計画的に伐り、別の樹種に置き換えていきます。アカマツは伐採後、売って木材にするのだけど、木材にならない部分もある。それを燃料として有効活用しようという考えです。
 ここまでは、村の『村報みなみみのわ』(2026年2月号)で知ることができます。

 森林・林業を学ぶものとして、もう一歩ふみこんで知りたいのは、「①チップは誰が作り、②誰が乾燥させ、③誰が燃やすのか」です。
 ①太い木を小さく砕くのには、専門の機械「チッパー」(木材破砕機)が必要です。重さが10tをこえる大型機械です。機械のメンテナンスも欠かせません。切削チップを作るなら、しょっちゅう刃を研ぐ必要があります。これを自前で持つのか、借りるのか、あるいはチップ化を よそに頼むのか。
 ②伐ったばかりの木は、水分を含んでいます。燃料にするためには乾燥が必須です。温泉に導入するような、大きくないボイラー(背の高い冷蔵庫2台分くらいの大きさです)なら、なおさら乾燥し品質の整ったチップである必要があります。誰が、どこで、どのように乾かすのか。
 ③大芝の湯を運営しているのは、南箕輪村開発公社です。公社は、チップの製造や調達、効率のよい燃焼についてのノウハウを、現在もっていないと思います(これまでは石油を使ってきたので当然です)。少なくとも最初のうちは、専門知識をもった人が安定稼働を担う必要があります。

 この①~③を探ることはできないか。
 森林政策学の第一歩は、一般に公表されている資料を集めることです。『村報みなみみのわ』以外に、使えそうな公表資料はあるでしょうか。
 ありました。2025年12月の南箕輪村村議会で、議員が質問しています。村長の答弁を聞くと、次のことがわかります。
▼ ボイラー本体 2300万円
▼ 設備工事費 8700万円
▼ 機械室の整備費 3100万円
 南箕輪村議会『議会だより』(152号)には、「機械費」と書いてあるのですが、村長は「機械室」と言っているので、そう解釈しましょう。
 さて、ここから何が推理できるでしょうか。

◆ 推理1 チッパーは購入せず、チップ製造は外部に委託する
 村長の答弁にはチッパーの購入費用が入っていません。また、「チップ加工・運搬について近隣の木材関連事業者と協議を進めて」いると発言しています。
 チッパーは動作させると大きな音が出るので、露天風呂の隣で動かすわけにはいかないでしょう。大芝高原で伐採した木を、チッパーをもっている業者のところに持っていって、チップにしてもらうのだと思います。
 近隣でチッパーを持っているのは、上伊那森林組合です。この組合の工場には、2025年に稼働しはじめたばかりの小規模チップ発電所(伊那木質バイオマス発電所)があります。そこにチッパーがある。
 発電所の公表資料をみると、チッパーのメーカーと機種がわかります。発電所が1年間に必要とするチップを、このチッパーなら2日で作ってしまうほどの高性能です。大芝の湯のためにチップを製造する余裕もあるでしょう。

◆ 推理2 チップは温泉施設の隣で乾燥させる
 上伊那森林組合は、発電所に使うチップを乾燥させる設備は持っていますが、写真を見るかぎり、それほど大きくなさそうです。大芝の湯のぶんのチップまでは乾燥できないでしょう。
 ということは、生チップを持って帰ってきて、大芝高原の中で乾燥させる必要があります。チップをボイラーまで運ぶ手間を考えれば、大芝の湯の隣で乾燥させるのがよいです。
 木質チップは、天日でも乾燥できなくはないが、大芝高原は森林なので日当たりのよい場所は多くない。そもそも日当たりのいいところは芝生や運動場、テニスコート、スケボー場になっています! だからチップ乾燥のための施設を作るはずです。
 村長の答弁の「機械室」が、それではないか。車庫のような場所に、下から空気を吹き込む仕掛けをつけるのは、3000万円くらいでできそうです。温泉のボイラーの廃熱を利用して乾燥させるのだろうと思います。

◆ 推理3 バッファタンクは大きい
 ところで、今回導入される木質チップのボイラーは、その価格からすると、比較的小型のものだと思います。ふつうは3000万円以上するものです。
 木質バイオマスボイラーは、木を燃やすので、石油のように火を点けたり消したりできません。だから、沸かしたお湯を直接 湯船に入れるのではなくて、ボイラーで加熱した湯をタンク(バッファタンク)に入れるという仕組みをとります。ボイラーで沸かした湯は、バッファタンクとボイラーの間をぐるぐる循環するだけで、外に出ません。
 瞬間的に水をお湯にするのではなく、ずっとボイラーを燃焼させてバッファタンクの中を熱くしておく。お湯が必要なときに、そのタンクの中にくぐらせたパイプの中に水を通して(熱交換して)、湯船やシャワーのお湯にするのです。これならボイラーは小さくてすむし、「ずっと火がついている」という木の性質を活かせます。
 大芝の湯に導入されるボイラーが小型なら、そのぶんバッファタンクの容量は大きいだろう。1年後に見学しに行ったら、分厚い断熱材に覆われた筒状のバッファタンクが、小屋の中に林立しているのが見られるはずです。

◆ 推理4 熱供給会社が温泉施設にお湯を供給する
 すでに述べたように、品質の整ったチップを安定的に入手し、それをボイラーでうまく燃焼させて(ボイラーのメンテナンスもし)、必要なときに必要なだけ適温のお湯を生産するのは、ノウハウが必要です。
 これを公社が自社でおこなうのは簡単ではないので、少なくとも最初のうちは、チップの入手からお湯の生産までを別会社が請け負うことになるのではないかと思います。(日本木質バイオマス協会の資料や、環境省の地域脱炭素セミナー第4回資料を参照)。すでに村議会も、そうした県内外の先行事例の見学をしているからです(『議会だより』151号)。
 最初のうちはアカマツのチップだけを燃料として安定運転を目指し、ノウハウが蓄積したら他の樹種も混ざったものに挑戦するプランだと思います。

 学部3年生くらいになれば、関心があれば、ネット上の公表資料からこのくらいの推理できるでしょう。重要なのは、推理が当たっているかどうかではありません。推理すること自体が大切です。
 第1に、推理するためには情報が必要です。湯船にお湯をはるためには、どのくらいの木質燃料が必要なのだろうか? とか、機械の能力はどのくらいだろうか? とかです。推理するためは、どんな情報が必要かを考え、それらを調べることになる。勉強になるわけです。
 第2に、推理して自分の仮説をもてば、見学するときに、よく観察できます。自分の推理では、こうなっているはずである。でも現実はそうなっていない。なぜ? と質問ができる。そういう意味では、推理は外れることを楽しむものです(我々の推理は、犯罪捜査ではないので)。
 大芝の湯の改修は5月からなので、すでにどんな方式になるかは決まっていて、図面がひかれ、発注も済んでいるはずです。ただ、それはまだ公表されていないので、答え合わせは改修後、はやくても改修途中の夏ごろでしょうか。新しい施設が どんな姿になるのか、また、推理がどこで合っていて、どこで外れるのか。いまから楽しみです。
2026年2月5日
 木曽町で開催された、「スマート林業実証報告会」と「架線集材全国サミット in 木曽谷・伊那谷フォレストバレー」に参加しました(長野県林業コンサルタント協会、長野県 主催)。
 「スマート林業実証報告会」では、林業で重労働の作業である、地拵え、下刈り、ワイヤーなどの運搬を、機械化するための実証試験の結果を学べました。万能の機械というものはないので、その現場にふさわしい機械を選ぶことが大切なようです。
 「架線集材全国サミット」は、急峻な森林から木材を伐採・運搬するための方法である架線(かせん)を、新しい機械で安全かつ効率的にしていくための試みが語られました。架線集材は、地上を走行する車両系林業機械での集材に比べると、ややマイナーな存在です。しかし参加者が会場・オンライン含めて400人以上と、熱い注目を集めていました。
 農学部のある伊那谷から、会場の木曽谷までは、車で30分程度。近いところに、こうした先端の試みをしている現場があるのは、素晴らしいことです。
2026年2月2日
 Inadani seesで開催された「里山協創 Jobトーク」に参加しました。
 信州大学農学部 地域協創特別コースの学生などが準備・運営した催しです。長野県の木曽谷・伊那谷フォレストバレーの一環でもあります。
 信州大学農学部の学生のほか、長野県林業大学校、上伊那農業高校の学生・生徒が集いました。産業側から、林業、製材業、建築業と、行政の移住促進の担当者が出席し、里山の資源を利用した産業や生活をつくることについて語り合いました。
2026年1月31日
 伊那市内で開催された「これからの森林づくりを考える林業技術者の集い in 信州」に参加しました。よい森林づくりとは何なのか。現状どこまで取り組めていて、何か課題なのか。林業現場や行政で働いている技術者と、悩みやモヤモヤ、ワクワクを交流できました。学生も参加できる こうした場があるのが、信州のすばらしいところだと思います。
2026年1月29日
 Inadani seesで開催された「手工業をリデザインする「視点」の作り方」に参加しました。木工をはじめ、地域には、そこの自然環境を活かした ものづくりがあります。それらを組み合わせて、地域のいっそうの魅力とするためには、まずは地域内の工場・工房を、たんねんに見学して回ることが必須だという話は、とても大切な視点だと思いました。
2026年1月28日
 地すべり学会中部支部のシンポジウム「災害の記憶と、次世代へ技術を繋ぐ:諏訪の隠れた地震と豪雨災害からの教訓」を傍聴しました。
 1944年の東南海地震は、戦時下の情報統制のために記録が十分に残っていないので、お年寄りの話を収集して地域の被害がどのようだったのかを復元しようという研究がおこなわれています。狭いエリアでも、地質によって被害状況が異なっていたことなどが明らかになったそうです。また、上伊那郡の戦後の気象災害についても、地元テレビ局の番組や農村歌舞伎で記憶を引き継ぎ、次の防災に役立てていこうという努力が語られました。たいへん参考になりました。
2026年1月27日
 中部森林管理局(長野市)で開催された、「中部森林・林業交流発表会」を傍聴しました。国有林で実施されている、様々な新しい取り組み、技術改良について知れる機会です。
2026年1月26日
伐採面積(累計)と再造林率の推移 「伐って、使って、植えて、育てる」というのが人工林のサイクルだと言われます。樹木は空気中のCO2を吸収して成長するので、それを木材にして長く使えば、それだけ炭素を大気中から固体の状態に留めておくことになります。伐ったあとに植えて育てれば、資源は再生できる。
 それはそうなのですが、このサイクルが成立するためには、伐ったあとに確実に植える必要があります。実際はどうなっているのでしょうか。
 実は、「人工林が皆伐(主伐)されたあとに、どれだけ植えられているか」という再造林率は不明です。人工林の主伐面積からして分かりません。そこで、公表されている数字を使って、荒い計算をしてみます。
 1年間の主伐面積と造林面積は分かります。これには天然林も含まれるので、そのまま人工林の再造林率とはみなせませんが、「ある年に主伐された森林に、翌年に植える」ものと仮定して、主伐後どのくらい造林されているのかを(強引に)計算してみます。
 すると、主伐翌年に造林しているのは3割程度です。2005年度以降の18年間で、森林は計145万ha主伐され、そのうち計44万haに造林されました。つまり、計101万は造林していないということになります。
 ただし、これが即「伐りっぱなし」というわけではありません。天然林を伐って植えない(また天然林にする)ということもあるし、人工林を伐って天然林に誘導するということもあります。たとえば「森林・林業基本計画」(2006年)では、2005~2025年の20年間で育成単層林(木材生産林)を10万ha減らすことになっていました。その後に更新された「計画」でも、減らす方向は同じです。
 しかしそれらを引いたとしても、それなりの面積が、「植えられるべきだったのに、植えられていない」ということはいえるでしょう。かつては、日本の山は放っておいても森林になると言われましたが、シカが多くなったいまでは、植えずに天然林に戻すとしても、柵・ネットで囲うなどの対処が必要です。
 「伐って、使って、植えて、育てる」サイクルは、まだ完全ではないといえそうです。
(図出典:『森林・林業統計要覧』。皆伐面積は立木伐採面積を、造林面積は樹下植栽を除いた面積を用いた。)
2026年1月21日
 演習林のInstagramを公開しています。教育・研究の日常風景です。ご覧ください。
2026年1月19日
 研究室日誌でこれまで書いてきた解説を、「森林政策学 入門」のページにテーマごとに並べました。
2026年1月18日
 大学入学共通テストを終えたみなさん、お疲れさまでした。
2026年1月15日
 大町市で、新しい木材の乾燥方法に取り組んでいる事例を見学しました。
2026年1月13日
 日本で、森林破壊というものは生じているのでしょうか。
 FAO(国連 食糧農業機関)の『世界森林資源評価 2025』(※)では、森林の減少(deforestation)と、森林の劣化(forest degradation)に注目しています。
 森林の減少は、面積が少なくなることです。世界の森林は、毎年412万haずつ減少しています。世界の森林面積は41億4000万haなので、毎年0.1%が減少していることになります。とくに熱帯地域は激しく、アフリカと南米では毎年0.5%以上 減少しています。このままだと200年程度でなくなるという恐ろしいスピードです。農地拡大や木材生産が主な原因です。
 日本ではどうか。日本でも、開発によって減少することはありますが、逆に耕さなくなった農地を森林にすることもあり、森林面積は約2500万haでほぼ一定です(減少率は毎年0.009%)。ある地域の出来事としては、伐採・開発や災害によって森林が失われるとかはありえるし、街路樹や都市公園といった身近な緑地(森林ではないですが)が失われて生活に影響がでることもありますが、日本全体としてみれば、森林の減少は生じていません。
 森林の劣化は、森林はあるのだが、抜き伐りによって樹木がまばらになったとか、森林火災によって損傷しているとか、生物多様性が低下したとかで、質的に悪くなることです。
 森林の劣化については、なにをもって「劣化」とするのかという定義が必要です。世界では59の国・地域が定義を作っています。日本は、森林のモニタリング調査はしていますが、「劣化」の定義を作っていません。したがって、日本で森林劣化が生じているかどうかは(国際的な水準では)どうとも言えない状態です。単純に、森林の木のサイズの合計(蓄積)だけみれば、増え続けています。現在では、1980年代の2倍以上の蓄積になっています(1981年24.8億m3 → 2022年55.6億m3)。
※ 主なポイントは、林野庁が「世界森林資源評価2025 主な調査結果」(仮訳)として翻訳してくれています。

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