森林・環境共生学に関連しそうな本を読んで適当に紹介するコーナー
地球が燃えている:気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言
ナオミ クライン
大月書店
2020

グローバル・グリーン・ニューディール:2028年までに化石燃料文明は崩壊、大胆な経済プランが地球上の生命を救う
ジェレミー リフキン
NHK出版
2020

地球に住めなくなる日:「気候崩壊」の避けられない真実
デイビッド ウォレス ウェルズ
NHK出版
2020
 気候変動(気候危機)に関しては、多くの情報があって、いろいろなところで見聞きするので、知った気分になっている。自分の理解の幅を確認するには、『地球に住めなくなる日』が分かりやすくてよいと思う。
 ただ、これだけ読むとお先真っ暗という感じがする。アメリカは気候危機に取り組むべき時間を、この4年間むだにしてきたと思う。私たちは10年間をむだにした。「低炭素社会」という言葉は10年前に『森林・林業白書』にも載った言葉なのに、また今年も同じことを言っている。しかし、急がなければならないが、まだ解決のために時間は残されている。あと10年ほどは。
 テクノロジーの面で何ができるかは、『グローバル・グリーン・ニューディール』が参考になる。ここで指摘されているのは、かつてのニューディール政策のような、思い切った「グリーン・ニューディール」が必要だということだ。そして、その契機は、実は学生にあるという。
 環境に配慮した企業に投資をし、環境を破壊する企業からは投資を引き揚げる。この動きをつくったのは、アメリカの大学生たちである。自分の通う大学が、環境や人権を無視した事業の収益からできているのはごめんだ、という意思表示をして、大学(私立大学)の経営を変えさせたのである。
 この本で気になるのは、日本についてまったく触れられていない点である。著者から見て今の日本が魅力的でないとするなら、その理由は政府・企業の行動がにぶいだけでなく、私たち市民の意思表明が十分でないことからきているのかもしれない。

 『地球が燃えている』は、気候危機を乗り越える市民の取り組みについて書いている。著者の論旨は明確だと思う。
 地球規模の環境問題に関心のある人が、「まず自分の生活から」変えようとする。しかしそれでは問題は解決できない。環境問題を自分一人でしょいこむことだからだ。著者は「自分だけで世界を救おうとしなくてもいい」という。そうではなくて、世界の人々と一緒に問題に取り組むことが必要なのである。世界の人々が様々なかたちで、いま環境問題に取り組んでいる。自分の行動はその「プロジェクト」の一部なのだ、という認識を持つことが重要なのだ。
 では、人々とは誰か。環境問題に関心のある人のことか。著者は、もっと広いのだという。環境問題にさらされ、被害を受けるのは、社会的立場の弱い人々である。お金がある人は環境破壊から逃げることができる。気候危機は「平等」におとずれるわけではないのだ。先住民や少数民族、経済的貧困層、女性、農漁民、性的マイノリティなどが、環境破壊の影響をとくに受ける。だから、いまの時代に環境問題に取り組むということは、この人々と連帯することでもある。
 だとするなら、環境問題の解決のための対策は、環境破壊にさらされる人々と一緒に考えて、答えを出さねばならない。従来は、パリ協定に参加しないトランプ大統領などに「ノー」(反対)を言っていた(それも大切だが)。しかし今や、「イエス」(賛成)と言える対策をみんなで考えるときだ。それが本当の「グリーン・ニューディール」なのである。それは、あらかじめ決まった形ではない。誰か頭のよい者が少数で考えることでもない。気候危機にさらされている、多くの人がともにつくりあげるものだ。
 だから、著者のいう「グリーン・ニューディール」は、著者の住む北米(カナダ出身)の内容になっている。日本でのグリーン・ニューディールは、日本で考えればよいのである。
 そう考えると、私たちが学ぶ意味もはっきりするし、アイデアもわいてくるのではないだろうか。
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© 2020 三木敦朗