林業経済・森林政策に関する定期刊行物寸評
2021年4月
林業経済 74(1)
林業経済 74(1)
【論文】呉ほか「農家による集団林権制度改革の主観的評価と森林経営のインセンティブに関する研究」
 中国革命の聖地・井崗山という、おそらく優良事例が展開される場所だという限定つきではあるが、個別の農家への調査に基づいて、どのような要素があれば森林経営をおこなう気になるのかを明らかにした点は注目される。土地に関わる様々な権利の行使が自由であることが経営意欲を高める、という結果は予想通りだろう。一方で、農家が自力で経営しようと思うようになるために転用権の自由化を要する、転用権の自由がない場合は他者に転貸しして地代を得ようとするというのは面白い。土地の利用ではあっても森林経営を求めているわけではないのだ。では自力の森林経営ができているのはどのような農家か。林業の従事経験が効くらしい。林業の心得があるということが、森林経営を可能にするというのは、どこの国でも同じだ。行政が技術支援をすれば効果があるということである。
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© 2021 三木敦朗